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個人年金保険の年金受け取りを開始したら、税金はどうやって計算する?

オールアバウト / 2024年4月9日 19時30分

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老後資金を個人年金保険で準備する方もいるでしょう。個人年金保険の受け取り方はいろいろありますが、受け取り方別に税金の計算方法を事例で解説します。

老後資金を個人年金保険で準備する方もいるでしょう。今回は、個人年金保険の受け取りを開始した場合の税金の計算方法を事例で解説します。

個人年金保険を受け取った場合の税金シミュレーション

個人年金保険の受け取り方によって、税金の計算方法が異なります。受け取り方は、年金形式と一時払いの2種類があります。

年金のように、10年にわけて少しずつ受け取る場合の所得区分は「雑所得」になり、一括で受け取る場合の所得区分は「一時所得」になります。

年金形式と一時払い、それぞれ計算方法が異なりますので、それぞれの年金の受け取り方ごとにシミュレーションしてみましょう。

個人年金保険を一時払いで受け取る場合の計算方法

まず個人年金を一括で受け取る際の、税金を計算してみます。ここでは下記のような条件で計算します。

《条件》
・保険料の負担者と年金の受取人が同一人の場合
・年金受取開始年齢:60歳
・年金受取:一括受け取り
・年金受取額:1000万円
・保険料払込合計額:850万円

個人年金保険を一括で受け取るときは一時所得になり、計算式は次のとおりです。

・一時所得=総収入金額-保険料払込総額-50万円(特別控除額)

上記の計算式に数字を入れると「1000万円-850万円-50万円=100万円」になります。一時所得になるのは「100万円」ですが、課税の対象になるのは100万円をさらに2分の1にした「50万円」です。

一時所得が25万円以上となるため、以下の通り源泉徴収されます。源泉徴収とは、年金を支払う保険会社が、所得税を差し引き、国等に納付する制度です。

源泉徴収の計算式:「一時所得金額×1/2×20.315%」
税率20.315%には、所得税の他に復興特別所得税と地方が含まれています。

一時所得50万円の源泉徴収額は「50万円×1/2×20.315%=5万700円(100円未満切り捨て)」になります。

源泉徴収額は確定した税額ではなく、確定申告で、給与所得や年金所得と合計して総所得を求めた後、過不足を精算します。総所得から差し引かれる控除によっては、すでに納めた税金が還付となる場合もあります。

またこのケースでは一時所得が25万円以上で源泉徴収されましたが、一時所得が25万円未満で源泉徴収されなかった場合は、確定申告でほかの所得と合算して税金を精算、納める必要があるがあります。

個人年金保険を年金形式で受け取る場合の計算方法

続いて、個人年金を年金形式で受け取る際の、税金を計算してみます。ここでは下記のような条件で計算します。

●定額性の10年確定年金の場合
《条件》
・保険料の負担者と年金の受取人が同一人の場合
・年金受取開始年齢:60歳
・年金受取期間:10年間
・年金年額:年間100万円を10年間にわたり受け取る
・保険料払込合計額:900万円

個人年金保険を年金で受け取るときは雑所得になり、計算は次のとおりです。

・総収入(A)-必要経費(B)=雑所得

(A)は、1年間で受け取った年金となるため「100万円」となります。
(B)は、総払込保険料のうち、今年の年金額に対する金額を指します。
(B)については「1年間で受け取る年金年額×総払込保険料/年金の総受取見込み」で計算します。

まずは、必要経費(B)を計算します。

100万円×900万円/1000万円=90万円

これより、雑所得は「100万円−90万円=10万円」になります。

雑所得が25万円未満であるため、源泉徴収されません。その代わり、ほかの所得との合計額次第では確定申告で税金を精算、納める必要があります。

もし、雑所得が25万円以上になる場合は、保険会社が雑所得の10.21%を所得税として源泉徴収を行います。税率10.21%には、所得税の他に復興特別所得税と地方が含まれています。

源泉徴収があった場合、雑所得を、確定申告で他の年金所得などと合計して総所得を求めた後、税金を精算します。

●定額制の10年保証期間付終身年金の場合
《条件》
・保険料の負担者と年金の受取人が同一人の女性
・年金受取開始年齢:60歳
・年金受取期間:一生涯(10年保証期間)
・年金年額:50万円(基本年金45万円+増額年金5万円)
・保険料払込合計額:1000万円

この場合も、受け取った年金は雑所得になり、計算は次のとおりです。

・総収入(A)-必要経費(B)=雑所得

(A)は、1年間で受け取った年金となるため「50万円」となります。
(B)は、総払込保険料のうち、今年の年金額に対する金額を指します。
(B)については「1年間で受け取る年金年額×総払込保険料/年金の総受取見込み(C)」で計算します。

終身年金で受け取るときは(C)の計算方法が前述の確定年金と異なります。年金の総受取見込み額は「年金年額×余命年数」で計算します。というのは、保証期間付終身年金の年金の総受取見込み額は、余命年数と保証期間年数のいずれか長い年数をもとに算出するルールがあるからです。

参考までに、「年金の支給開始日における年齢別余命年数表」は次のとおりです。
年金の支給開始日における年齢別余命年数表(「所得税法施行令82条の3」をもとに、筆者作成)
余命年数表の平均余命をもとに計算すると、年金の総受取見込み(C)は、「50万円×23年=1150万円」になります。

次は、必要経費(B)を計算します。

50万円×1000万円/1150万円=43万円

これより、雑所得は「50万円−43万円=7万円」になります。

今回の場合も、雑所得が25万円未満であるため、源泉徴収されません。ただし、こちらも同様に、ほかの所得との合計額次第では確定申告で税金を精算、納める必要があります

もし、雑所得が25万円以上の場合は、保険会社が雑所得の10.21%を所得税として源泉徴収を行います。源泉徴収があった場合、雑所得を、年金所得などと合計して総所得を求めた後、確定で税金を精算します。

●参考
国税庁・保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)

3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))

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