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Auracastによるマルチスピーカー再生が楽しい! JBL「GO 4」を聴く

ASCII.jp / 2024年4月12日 19時0分

JBLの最新BluetoothスピーカーによるAuracast再生を試しました

 従来のBluetoothオーディオ(Classic Audio)の技術は、スマホなど1台のBluetoothオーディオに対応する送信機に、イヤホンやスピーカーなど2台のワイヤレスオーディオを受信機として同時に接続して音楽を聴くことができません。

 新しいBluetooth LE Audioの「Auracastブロードキャストオーディオ」機能は、1台のBluetooth機器に対して複数のワイヤレスオーディオ機器を接続して、同時に使う楽しみ方を実現しています。今回はAuracastによる音楽再生が楽しめるJBLのBluetoothスピーカー「GO 4」と「CLIP 5」をレポートします。

ロングランヒットシリーズのGOとCLIPが進化

 スクウェアスタイルのGOと、カラビナを一体化したCLIPはJBLによるポータブルなBluetoothスピーカーのロングラン・ヒットモデルです。どちらにも全9色の多彩なカラバリがあり、IP67相当の防塵・防水対応です。JBLオンラインストアの販売価格はGO 4が7700円、CLIP 5が9900円です。

コンパクトなスクウェアスタイルの「GO 4」
カラビナを一体化した「CLIP 5」

 2つの製品は1台だけでパワフル、かつ切れ味に富んだサウンドが楽しめるワイヤレススピーカーです。内蔵バッテリーが満充電の状態から、GO 4は約7時間、CLIP 5は約12時間の連続再生が楽しめます。今回の新モデルからバッテリーを大容量化して、さらに音楽の聴きやすさを担保しながら消費電力を最適化して再生時間を延ばす「プレイタイムブースト」の機能が加わりました。オンにするとGO 4はプラス2時間、CLIP 5はプラス3時間も長く再生ができます。低音再生が若干薄まってしまいますが、夜間の音楽再生にはかえって良いかもしれません。

JBL Portableから、複数スピーカーのペアリング設定をします

モバイルアプリで簡単に操作、設定

 モバイルアプリの「JBL Portable」にも対応しました。前世代のスピーカーは本体のボタンだけで、各種の設定操作をしていました。視覚的にステータスを確認できるアプリがあると、イコライザーの調整や起動音の設定など本体のカスタマイズやファームウェアアップデートが飛躍的にシンプルになります。

 今回のテーマであるAuracastによるマルチスピーカー再生(パーティーモード)も、JBL Portableアプリから設定操作ができます。また2台のGO 4、CLIP 5同士をペアにしてステレオ再生(ステレオモード)が楽しめます。この場合もそれぞれのスピーカーはAuracastのLE Audio Broadcastで接続されています。ステレオ再生の場合は機種が異なると再生バランスが崩れてしまうので、「2台のGO 4」のように同一機種を揃える必要があります。

 ステレオモードとパーティーモードのペアリング設定は、アプリの異なる画面にあるので操作方法を混同することはなさそうです。

 JBL Portableのメイン画面、下の一番左にある単体スピーカーのアイコンをタップすると「マイプロダクツ」のリストに使用するスピーカーが表示されます。タップした先の画面にある「ステレオグループ」から、同じ機種のスピーカーをガイダンスに従ってペアリングするとステレオモードの設定が完了します。

マイプロダクツの設定から「ステレオグループ」を設定します

 アプリの画面下、中央にある複数台スピーカのアイコンをタップすると「Party Together」の画面に遷移します。こちらの画面からガイダンスに従って「スピーカーを追加」していくとパーティーモードの再生環境になり、さらにスピーカーの音量を手動で調整すれば心地よい環境に整います。

Party Togetherの設定メニューから、マルチスピーカー再生環境を構成するJBLのスピーカーを追加していきます

 Auracast機能を利用するためには、Bluetooth機器がLE AudioのLC3オーディオコーデックに対応している必要があります。ところが、GO 4とCLIP 5は発売直後はLC3には対応しておらず、BluetoothオーディオのコーデックはベーシックなSBCしか使えません。にも関わらず、複数のスピーカーによる"Auracast再生”ができる理由をハーマインターナショナルの担当者に取材しました。

 LE AudioのAuracastには、スピーカーなど受信機の間をつなぐ「LE Audio Broadcast」と、スマホなど送信機と受信機の間をつなぐ「LE Audio Unicast」という異なる役割を担う機能があります。どちらもワイヤレスオーディオのコーデックはLC3を基本としています。

 JBLのBluetoothスピーカーは「LE Audio Broadcast」から先に対応してマルチスピーカー再生が楽しめる環境を整えました。当初、モバイルとスピーカーの間をつなぐコーデックはSBCとして、モバイル側でのLC3の対応状況を見ながら、年内を目処に「LE Audio Unicast」へのアップデート対応について検証を進めながら実現する方法を採ったそうです。

マルチスピーカー再生が身近な楽しみになる

 GO 4とCLIP 5と一緒にAuracastによるマルチスピーカー再生が楽しめる機種は、一回りサイズの大きな「XTREME 4」を含むJBLのポータブルBluetoothスピーカーに限られます。JBLのワイヤレススピーカーの中にはAuracastに対応する最新の「PARTYBOX」シリーズもありますが、こちらは"PARTYBOXシリーズどうし”によるマルチスピーカー再生に限定されます。

 なお、JBLのGO、CLIPそれぞれのシリーズにはLE AudioのAuracastに対応する前から、既存のClassic Audioの技術をJBL独自に応用したマルチスピーカー再生機能「Party Boost」を搭載していました。1台の音楽プレーヤーによるワイヤレス再生を複数のスピーカーで同時に聴けるユーザー体験は一緒なのですが、AuracastではGOとCLIP、XTREMEのように「異なる機種をミックスしたマルチスピーカー再生」ができることが大きなメリットになります。

 Bluetooth Classic Audioの標準コーデックであるSBCに対して、LC3は低遅延性能にも優位性があると言われています。現状、スマホとスピーカーの間はSBC接続になることから、Auracast再生時に映像やゲーム音声の遅延が目立つのかチェックしてみました。YouTubeのトーク番組の動画などはわずかに口もとのもたつきが感じられるものがありました。LC3アップデートを完了した後にどれぐらい使用感が変わるのか、また試してみたいと思います。

 1台7000円台のワイヤレススピーカーにより、手軽にマルチスピーカー再生環境が構築できる魅力は大きいと思います。カフェやヨガスタジオなど、広い空間を心地よい音楽で満たせる簡易なオーディオシステムとしても、今後JBLのポータブルBluetoothスピーカーに多くの関心が集まりそうです。

     

筆者紹介――山本 敦  オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

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