白内障で片眼の手術後、高度近視の筆者が自動焦点アイウェアの「ViXion01」を衝動買い
ASCII.jp / 2024年10月5日 12時0分
自動でピントを調節してくれるオートフォーカスアイウェア 「ViXion01」が特価だったので気になった
筆者は、クラファンが鳴り物入りでスタートしたオートフォーカスアイウェア「ViXion01」を買い逃していた。おまけに来年の4月にはいいか悪いかは別にして、普通の眼鏡のデザインに近い次世代モデルも登場するらしい。これはすぐにオリジナルモデルのViXion01の紹介原稿を書かなきゃ……。
実は今年6月頃に、ネットの広告で割引セールが始まったのを知り、都内のお店ではテスト用の実機も置いてあると聞いて、早速ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaに出向いた。今回と次回の2回に分けてViXion01の衝動買い顛末記をご紹介したい。
カメラ売り場にあるViXion01の小さな展示カウンターの付近で話を聞いたら、盗難の危険もあるようでサンプル実機はバックヤードからお店の人が持ってきてくれた。
早速かけてみたところ、使い方がよくわからないのでお店の人に聞いたら、単体でできる簡単な設定を教えてくれた。設定はすぐにわかって使い勝手は上々だったが、このときは購入せずに帰宅した。
白内障の初期で手術を受ける 右目の手術のあと、視力のバランスが悪くなった
以前からディスプレイを見ると、少し画面がボケるので医者に行ったところ、“白内障の初期”ということだった。高度の近視でもあるので、この際にと手術を受けることに決めた。主治医と話し合って7月の第1週に右目、2週間空けて第3週に左目というスケジュールに決まった。
右目の手術の終わった翌日、裸眼視力0.02が0.4くらいまで見えるようになっていた。この差は数字以上にマジで大きい。片目なので距離感はダメだが、室内だと眼鏡なしで普通に暮らせる。何十年ぶりかに眼鏡無しで見る空の青さと、横断歩道の白いペンキが鮮烈だった。だが問題はそこからだった。
右目はよく見えるようになったが、左目は従来の0.1を大きく切る数値のままだ。それまで使っていた眼鏡だと、手術前の左目は違和感ないが、右目は視力が何十倍も向上しているのでめまいを起こしそうな雰囲気だ。真っすぐに歩けない感じもした。
素人考えで右目のレンズを外して、左側だけレンズの眼鏡を勝手に作って見たが、理屈と違ってまったくよくならず、室内を歩くとやはりフラフラとする。あとで主治医に聞いてみると、人間は左右の裸眼視力のバランスが何十倍も極端に異なると、矯正がなかなか難しいらしい。
こんな状況になる機会も多分ないだろうからとViXion01を衝動買い
お気楽な筆者は、こんな左右アンバランスな時期は2週間後の左目の手術が終わるまでで、この2度と体験できない貴重な時期にViXion01を使ってみたらどんな感じだろうと、やけに興味が沸いてきた。アンバランスな両目でフラフラとまたヨドバシカメラ マルチメディアAkibaまで行って、速攻でViXion01を特売価格の7万9800円で衝動買いした。
ViXion01は丁寧な紙パッケージに入れられ、専用ケースも付属していた。パッと見、その外観は超スリムな眼鏡の左右それぞれの中央付近に小さな補強をしたコンタクトレンズのような丸いレンズが付いた、奇妙な格好をしている。まあ考え方によったら透けて見えるレンズはなかなかシュールで未来的だ。
レンズとレンズの中央には少し自由に動かすことのできる鼻パッドがネジ止めされている。論理回路やバッテリーが収納されている右側のツルがどうしても太くなり、左右のバランスは確実に悪いので鼻パッドの調整は結構重要だ。
そして鼻パッドの位置の表側、レンズとレンズの中央付近に扁平な楕円形の距離センサーがある。見たい対象に目だけではなく頭も向けることが前提のようだ。
そして距離センサーは人が見ている目的物までの距離を測定してレンズの厚みを自動的に切り替えることで、目の水晶体の役目をしてくれる。瞳孔間距離は一度合わせば変わるモノではないので左右の各レンズを横にスライドさせて、左右おのおのの目で景色が同じように見える最適値を見つける感じだ。
ViXion01は、筆者がヨドバシの売り場でクイックにやったように、デバイス単体でダイアルやボタンを使って手動設定もできる。またスマホアプリにより、Bluetooth接続したViXion01をリモート設定することも可能だ。
手動設定はViXion01の右側のツルの付け根の本体部分にある小さなダイアルを回して、まず右側の目だけキャリブレーションをする。続いてViXion01の左端にあるボタンを押しながら同じダイアルを回して、左側の目のキャリブレーションをして、よく見える位置に設定する。
レンズの直径が小さいので、目だけを動かして パソコンの画面などを見ると、レンズの範囲から外れる
ここ2ヵ月ほどViXion01を使って気になるところもいくつかある。まずViXion01は眼鏡ではなく、見ているであろう目的の場所にフォーカスしてキャリブレーション後の2つのレンズの厚さをメカニカルに変更してハッキリ見せることが目的の商品だ。今回のモデルでは乱視などの矯正はできない。
ViXion01のレンズの直径は実測では5~6mmくらいと極めて小さいので、首を使わず頭を動かさずに眼球だけを上下左右に動かし、横目や上目使いで対象を見ると、レンズをまったく通さずに目標を見ることになる。当然ながら距離センサーと人間の見ている標的に差が出てくるので、厳密には焦点は合わない。
例として、年間何十万文字もキー入力しているのに、筆者は完全な“ブラインドタッチ入力”ができない。なので目の前に置いたパソコンの画面を真っすぐ見ていると、ViXion01の距離センサーも理解し、レンズから画面までの距離を前提にフォーカスする。
高度近視の筆者は、レンズを通した目の前のディスプレイの文字はよく見えるが、キータッチのためにうつむかずに下目使いで見たときのキートップは、レンズを介さないのでよく見えないという結果になる。高度な近視者の場合なら、眼球だけの下移動ではなく頭全体を下に向けて、距離センサーが正しく動作するようにすることが必須となる。
もちろん解決策は今のViXion01のレンズ径を上目づかいや下目づかいでも大丈夫なように十分に大きくすることだ。同時にViXion01をできる眼球に近づけて配置することだろう。しかしそうすると別のさまざまな課題が出てきそうで簡単ではなさそう。まぶたの開け閉めで充電できる夢の超小型のViXionコンタクトレンズや、白内障の眼内レンズの登場待ちかもしれない。
もう片方の白内障の手術も無事完了 そこでViXion01のさらなる実証実験をしたくなった
そんなわけで、右目の白内障の手術を終えて裸眼で0.4の視力のある片側の眼と手術前で高度近視の0.02程度の左目のときにViXion01を衝動買いして使ったわけだが、左右の視力に大きく差があると矯正はなかなか難しいらしいものの、そんな時期でもViXion01はなかなか健闘し重宝した。
白内障の手術では、濁った水晶体を取り出して、その後に水晶体嚢の中に入れる眼内レンズを、遠近いずれかの単焦点レンズか遠近両用の2焦点レンズ、その拡張系のレンズなどから選ぶことが必要だ。筆者は高校生の頃から近視用の眼鏡をかけ慣れているので、眼鏡をかけることにまったく違和感がない。
加えて眼鏡をかけていない筆者を見た第三者が筆者だとわかるかどうかの方が気掛かりだったので、従来と同じく、遠くを見る必要のあるときは近視用の眼鏡をかける方を選んだ。眼内レンズは単焦点で目の前35~40cmに一番ピントが合うレンズを選んだ。もちろん高度近視の0.02から0.4程度には良くなるので自宅内や昼間の屋外はまったく問題ない。
さて両目の白内障手術が終わり左右ともバランスが取れ、裸眼視力0.4程度に落ち着いてきたので、遠方を見るために近所のJINSに眼鏡を作りに行った。矯正で1.2まで出ることがわかったが、疲れそうなので0.9程度になるようにした。ちなみに今この原稿は裸眼で40㎝くらいの距離にある37インチの大型ディスプレイの中央部分だけにエディターを起動、配置して書いている。
原稿をただディスプレイを見て書くだけなら眼鏡は不要な生活になったが、出先でのモバイルワーキングも含め1日24時間の生活全般を考えれば、遠くもハッキリと見える眼鏡やViXion01があった方が望ましいのは変わりない。
自分なりの実証実験をやってみたくなって、気分を変えて原稿を書きたくなるときにときどき行っている近所のガストに、朝一番に愛用のポメラとViXion01、ポモドーロタイマーの3点を持って出掛けた。その話は次回で!
今回の衝動買い
・アイテム:ViXion「ViXion01」 ・購入:ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba ・価格:7万9800円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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