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街で見かける三輪バイクの歴史や定義とは?

バイクのニュース / 2021年4月29日 9時0分

三輪バイクといえば、これまで宅配で利用されるビジネスバイクというイメージでしたが、最近では日常のアシとしてもよく利用されており前輪が2つになった三輪バイクもあります。今回は、三輪バイクの歴史や定義について解説していきます。

■そもそも三輪バイクとは

 三輪バイクとは、街中で見かける配達のための屋根付きの原付三輪バイクなど以外にも、大型スクーターの形をしたものや、前輪が2輪になったタイプ、またサイドカーを備えたバイクなどがあります。

 その歴史を振り返ってみると、日本を代表する三輪バイクは、1981年に登場したホンダの原付スクーター「ジャイロ」が挙げられ、屋根のついた「ジャイロキャノピー」などのモデルは多くの宅配業者で利用され、販売開始から改良を重ねてインジェクション化などの進化も遂げており、排ガス規制にも対応しながら現在も新車販売が続いているロングセラーモデルです。

ヤマハ独自のLMW機構は平行な上下2本のアームで構成するパラレログラムリンクを用いたサスペンションと操舵機構で軽快感と安定感の両立に貢献する技術です

 新しいタイプの三輪バイクとしては、ヤマハの登録商標でもある「LMW(leaning mulch wheel)」構造が話題になりましたが、これはモーターサイクルのように斜傾(リーン)して旋回する3輪以上の車両です。

 モデルとしては「トリシティ」をはじめ、排気量にも幅のあるラインナップを提供していますが、ヤマハのフロント2輪操舵モデルについての歴史は古く、実は1970年代から原付1種「パッソル」をベースに試験を重ねていて、その技術を1976年の時点で実用化に向け特許出願しているという実績も持っています。

 2007年には全4輪ながらもフロント2輪による操舵の技術を完成させ、二輪車並みの車幅で優れた機動性を持つコンセプトカー「Tesseract」によって実現し、この技術のフィードバックにより、自動車に比べて遥かにコンパクトで、バイク並みの機動力を持ちながら、バイクにはない「自立する」という安定性を持った「LMW機構」という新しいパーソナルビークルの誕生につながっています。

ヨーロッパではポピュラーな乗り物として浸透している三輪スクーター

 とはいえ、初の実用的な三輪バイクを世に送り出したのは海外で、2006年にイタリアのPIAGGIO(ピアッジオ)が「MP3」を販売して以降、ヨーロッパではポピュラーな乗り物として普及し、イタリアのメーカーでは、スポーツスクーターの名車「ランナー」を送り出したGILERA(ジレラ)からは「FUOCO」という排気量500ccの大型3輪バイクも登場、独自の開閉式ルーフ機構により全天候型3輪スクーターの世界特許を持つadiva(アディバ)などは、排気量200ccから選べるライトシティコミューターとして大注目株のひとつになります。

 三輪バイクの法的な区分については、車両に関する「道路運送車両法」と、免許や運転に関する「道路交通法」によって分かれており、道路運送車両法の三輪バイクは、二輪自動車(側車付き二輪自動車)として扱われており、排気量に応じた規定がナンバーや車検などにも引用されます。

 JAFによると、宅配などで利用される前1輪・後2輪の、「車体を傾けて曲がる・後輪左右車間460mm未満」のバイクや、側車付きの二輪車(保安基準細則第2条第1号第4号イ)は、道路運送車両法の「特定二輪車」となり、道路交通法の車両区分では「特定大型自動二輪車または特定普通自動二輪車」の扱いになるため、バイクの排気量に応じた「自動二輪免許」が必要になります。

 同じく3つの車輪を備えていても「普通自動車免許」で運転できるものもあり、「またがり式の座席・バーハンドル式の舵取り装置(ハンドル)・運転者席の側方が開放されている(ドアがない)・車体を傾けることがない」構造のトライク(保安基準細則第2条第1号第4号ロ)と呼ばれるものになります。

安定感抜群のCan-Am SPYDER F3

 しかし、同じ三輪でも前2輪・後1輪の「リバーストライク」と呼ばれるものについては、「同一線上の車軸における車両の接地部中心点を通る直線の距離が460mm未満であること」と「車輪及び車体の一部または全部を斜傾して旋回する構造を有するもの」については、2009年に「走行の方法が二輪車の特性と同じ」という理由から、内閣府告示によって排気量に応じた「二輪自動車免許」が必要になりました。

 普通免許で乗れるものか、特定自動二輪車として二輪免許を必要とするかの違いを簡単に言えば、曲がるときに「車体を傾けるものかどうか」で変わるということになります。

■三輪バイクのメリット、デメリット、運転する際の注意点とは

 三輪バイクの最大のメリットは、「転倒するリスクが低い」ことであり、その安定性の高さはコーナーで曲がるときに効果を発揮します。車体を傾けて曲がる爽快感は2輪同様ながら、転倒リスクを不安視している運転技術に自信がないユーザーでも気軽に楽しめるようになったことは、バイク初心者にもおすすめできる最大のポイントです。

三輪バイクの最大のメリットは、「転倒するリスクが低い」(ヤマハのNIKEN)

 後輪が2輪のタイプのものでも、荷物などの積載時でも走行中の安定感が高く運転がしやすいという利点から、前輪が2輪になった三輪バイクの独立式のサスペンションがもたらす効果は、段差や悪路の走破性だけでなく、衝撃を緩和する乗り心地の良さにも貢献しています。

 また、前輪や後輪が2輪あるという構造の恩恵は、横からの強風による影響や、滑りやすい路面走行時での踏ん張り、タンデム時の発進・停車や坂道発進などのときにも、フラつきを抑えて安定感を与えてくれます。

 トライクなどの法的区分の違うものになると、「普通自動車の免許で乗れる・ヘルメットの着用が不要・バック(リバース)ギアがある」などの利点も増えます。

 しかし、三輪バイクにも良いことばかりではなくデメリットも存在しており、見た目の問題として2輪で構成されるバイクのイメージからすると、デザインが個性的になってしまい好みが分かれるということと、タイヤの交換コストが1本分増えてしまうことが挙げられます。

 また、曲がるときに車体を傾けないトライクの場合は、バイクの運転方法とは少し違うため、カーブでの爽快感もなく車重もあるため遅いということが挙げられます。

マクドナルドにも配達用として採用されたaidea「AAカーゴ」

 このように、日本ではビジネスユースを除けば、まだまだ少ない三輪バイクですが、ヨーロッパをはじめとした世界では認知度も高く、通勤通学などの日常のアシとしての利用から、長距離ツーリングに至るまで幅広く対応できるので、バイク初心者で運転に不安な人でも気軽に利用できるおすすめの乗り物になります。

※ ※ ※

 三輪バイクには、法的な区分によって必要な免許が変わるものもあります。二輪と違った楽しみ方があるのが最大の特徴で、運転が苦手な人でも気軽に利用できるのも魅力な乗り物です。

ヤマハのLMW機構を採用しているモデル

 ヤマハのLMW機構など、ますます技術が進化して身近になってきた三輪バイクのデザインはどれも未来的で個性豊かなスタイルなので、人と違うバイクをお探しであれば、候補のなかに挙げてみても良いのではないでしょうか?

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