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ホンダの大型クロスオーバーモデル「X-ADV」は2代目で各部をブラッシュアップ 嬉しいバイクに仕上がっていた

バイクのニュース / 2022年1月1日 11時0分

ホンダ「X-ADV(エックス・エー・ディー・ブイ)」は、アドベンチャーモデルの力強さとクラッチ操作不要なコミューターの利便性を両立させた、排気量745ccの大型バイクです。2021年型でフルモデルチェンジとなった2代目に試乗しました。

■これぞクロスオーバーモデル、初代からのアップデイトは細部にまで及ぶ

 ホンダ「X-ADV」は、排気量750ccの直列2気筒エンジンと6速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を組合せ、スクーターが採用する変速機の王道、CVTとは一線を画するバイク感が魅力で人気を確立。その2代目となるモデルが2021年に登場しました。

2代目となったホンダ「X-ADV」(2021年型)に試乗する筆者(松井勉)2代目となったホンダ「X-ADV」(2021年型)に試乗する筆者(松井勉)

 2021年型では、同年から認可された2輪の「DRL(デイタイム・ライニング・ライト)」の採用や、メーターパネルのTFT5.5インチカラーモニター化、スマホとのコネクティング機能の搭載といったアップデイトや、シート下トランクのサイズを煮詰めたほか、小物入れをフットボード上側に設けるなど、商品性と使い勝手の良さへのアプローチを丁寧に施しています。

 また、メカニズム的にはスロットルバイワイヤー(電子スロットル)の採用により、制御関係へのフィードバックをより細やかにしたこと、5つから選択可能なライディングモードそれぞれの変化、操作時の自然なフィーリングも進捗しているのでは、と期待です。

 エンジンに目を向けると、ピストンなどの軽量化や吸排気系のチューニングをよりアクセルレンスポンス重視のものとして、先代と同じ排気量ながら4馬力と1N.mを上乗せ。また、ミッションの4、5、6速をハイギアード化して燃費性能向上も図られています。

2021年型でフルモデルチェンジとなったホンダ「X-ADV」2021年型でフルモデルチェンジとなったホンダ「X-ADV」

 2代目(2021年型)を目の前にすると、初代「X-ADV」が確立したスタイルを踏襲しつつ、よりシャープさを加えた外装デザインが印象的。ヘッドライト周辺からシートまわりにいたるアウターパネルは、構成と展開に切れ味ある面構成として、SUV的でありながらスポーティさが伝わってきます。細身に仕立てたシートや、初代から受け継がれるショートテールデザインもストリート系ネイキッドに通じる走りを予感させる部分。カッコイイのです。

 先代から継承されるハンズフリーキー(Honda SMART Keyシステム)は、ダイヤル式からプッシュON式に。そのメインスイッチを押すと、TFTモニターにグラフィカルなメーターが現れます。スイッチまわりの予習を済ませ、エンジンを始動すると、「X-ADV」はエンジンを共有する「NC」シリーズ同様、パルス感のある排気音で目を覚まします。

 通常のバイクと同様に、ミッションにニュートラルがあるだけにDCTは空ぶかしが可能です。軽くアクセルをあおってみると、たしかにレスポンスが軽い。右手への付きが良く、回転の落ちも早い。どこかマッタリ系だった先代エンジンですが、始動後わずかな時間で変化を実感。

 右手のシフトスイッチで「D」を選択し、アクセルをわずかに開ければ「X-ADV」は押し出されるように発進します。プログラムされたクラッチミートの仕方と、新たに採用したバイワイヤー式アクセルのコンビも上々。ワイヤー式スロットルだった先代は遊び分を考慮して操作しないと、発進時にドンと唐突に駆動が伝わることがあったので、これは発進から一体感と上質感が増しています。

2021年型で採用された2輪の「DRL(デイタイム・ライニング・ライト)」。被視認性の向上とともにフロントマスクはよりシャープな印象に2021年型で採用された2輪の「DRL(デイタイム・ライニング・ライト)」。被視認性の向上とともにフロントマスクはよりシャープな印象に

 乗り出してすぐに感じたのはサスペンションの良さです。ソフトになった、というのではなく、サスペンションの作動性とストローク初期の減衰圧が路面からの細かな入力をきっちり受け止めている印象で、低速走行時のコツコツ感が少なく快適です。前輪の接地感が先代よりもしっかり感じる印象で、市街地を走行しても安心感が上がっています。

 交差点で止まり足を地面に下ろすと、先代と同じシート高にも関わらず足つき感が良いのが分かります。内股がシートの角に干渉すること無く、足の裏がしっかり路面を捉えられているのです。走りや、こうした触感で「X-ADV」のサイズや重さを感じさせない工夫が凝らされています。

 スタンダード、レイン、スポーツ、グラベル、ユーザーという5つのライディングモードからスタンダードを選び走り出したのですが、X-ADVの元気になったエンジンと先代でもそうでしたが、スタンダード設定のアクセルレスポンス、変速タイミング、エンジンブレーキの強さなど、チャキチャキしたライディングにさらに軽快さが加わった印象です。

 個人的にはエンジンブレーキが弱く、シフトアップを早めにして低い回転でエンジンの鼓動をより楽しめるレインモードが好みでした。

フルモデルチェンジによって初代モデルからのブラッシュアップが各部に感じられ、外観的にも、使い勝手、走りの面でも嬉しいバイクに仕上がっていたフルモデルチェンジによって初代モデルからのブラッシュアップが各部に感じられ、外観的にも、使い勝手、走りの面でも嬉しいバイクに仕上がっていた

 高速道路では悠々としたもの。巡航性能は可動式スクリーンもあって快適です。100km/hではスクリーンが最下段でもまだ大丈夫という印象で、向かい風や120km/h制限の区間でスクリーンを上げると明確な威力を発揮してくれます。メーカーでは推奨しないでしょうが、走行中にライダーが利便性を受けるものは、もう少し操作性を簡単にしてもらえると有り難いと思いました。操作に対するストレスがないほど安全だと思うから。

 ツーリングシーンでもパワフルさとハンドリングの一体感、そしてエンジンがもたらす音、鼓動、DCTの的確なシフト操作など、スクーターとバイクのクロスオーバー的な「X-ADV」は、イージーさを高い次元で楽しめます。とくに変速の滑らかさ、駆動力が途切れないのにしっかりシフトチェンジした実感がある走りは、バイク感を楽しめます。

 じつはこれ、ライダーはもちろん2人乗りで出かけたらパッセンジャーにとっても快適性が高く、そこはCVTのスクーターと同じような快適性だと言えるでしょう。もちろん、重量バランス的にもエンジンが前に載っているのでフロントが軽くなる印象も少ないのです。

 さらなるスポーティさを求めるなら、DCTはマニュアルシフト操作も出来るので、ハンドル左側のスイッチを駆使しして意のままにエンジンを操ることも可能だし、その時に入るオートブリッパーが造る音も見物(聞くのですが)。2代目「X-ADV」はそうした多様性のひとつひとつの質感、楽しさを、さらにブラッシュアップさせた嬉しいバイクだったのです。

※ ※ ※

 ホンダ「X-ADV」(2021年型)の価格(消費税10%込み)は132万円です。

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