時代に翻弄されてきた!? バイクのパワー競争の歴史とは
バイクのニュース / 2023年3月27日 15時0分
自主規制という名の馬力制限など、排気量に合わせて細かく最高出力が決められていた時代もありました。日本仕様と海外仕様のパワーの差など、バイクの歴史はパワーの歴史と言っても過言ではありません。最近では排ガスや騒音に対する規制が強まったことで、パワーは下がる傾向にあるなど、パワーという点からバイクの進化を振り返ってみましょう。
■自主規制という名の馬力規制
自主規制という名の馬力制限など、排気量に合わせて細かく最高出力が決められていた時代もありました。日本仕様と海外仕様のパワーの差など、バイクの歴史はパワーの歴史と言っても過言ではありません。
そして最近では排ガスや騒音に対する規制が強まったことで、パワーは下がる傾向にあります。そんな、パワーという観点からバイクの進化を振り返ってみました。
パワー規制のきっかけとなったホンダ「CB750Four」
現在は撤廃されていますが、長らく日本市場では最高出力が自主規制という形で制限されていました。きっかけとなったのは、1969年に登場したホンダ「CB750Four」で、その後、国内でのバイクの最大排気量が750ccに規制されたのです。
そして、排気量別に50㏄=7.2ps以下、125㏄=22ps以下、250㏄=45ps以下、400㏄=59ps以下というように細かく馬力が設定されます。さらに1992年になると一層厳しくなって、250㏄は40ps以下、400㏄は53ps以下といったひと回り小さな数値になっていきます。
これらは各メーカーによる自主規制という名目ではありましたが、実際は国主導の規制にほかなりませんでした。
当時は2ストローク全盛、4ストロークでも直列4気筒が主流で、小排気量の250㏄でも各社直4エンジンがラインナップされているなど、出力は規制値いっぱい。軽い車体に高回転まで回る小排気量エンジンが積まれていたことから、ピーキーな走りが楽しめました。
そのため、実際のところは、250ccの2ストエンジンを45psに抑えるのは難しく、たとえばホンダ「NSR250」の通称88モデルは、リミッターをカットするだけで70psは出ていたのではないかという噂もあったほどです。
■規制がなくなると同時にパワー競争勃発!?
一方で、国内仕様とは異なるスペックの海外仕様をわざわざ作り分ける手間や、最高出力の規制がない逆輸入車や輸入車が増えてくると、そもそも国内仕様だけに細かく規制をしている意味が薄れてきます。
さらに暴走行為などの社会問題が減ったこともあり、規制を撤廃する機運が高まり、2007年についに撤廃。規制がなくなって、めでたしと言いたいところですが、次に待っていたのは排ガス規制や騒音規制で、この影響は今なお厳しくなっていく一方です。
そうなるとバイクにとっては暗黒時代ともいえる流れとなり、2ストはもはや絶滅。4ストでも250㏄直4エンジンが次々に姿を消すなど、規制があったとはいえ、レーサーレプリカが飛ぶように売れた全盛を極めた1990年頃に比べると、状況は一変します。
つまり、直接的なパワー規制が撤廃されたら、パワーに上限が無くなり、過激なスポーツモデルなどが出てくるのかと思いきや、厳しい排ガス規制や騒音規制が代わりに導入されたことで、さらに牙を抜かれることになったのです。
42psを発揮するホンダ「CBR250RR」
1990年頃は、馬力への規制はありましたがパワーを上限ギリギリまで出したモデルが当たり前のようにラインナップされていました。
では、排ガスや騒音の規制がさらに厳しくなる昨今のモデルと比較すると、どれ程の差があったのでしょうか。250ccモデルで見てみましょう。
現在、各社からラインナップされているスポーツモデルでは、ホンダ「CBR250RR」が42psで、ヤマハ「YZF-R25」は35ps、スズキ「GSX250R」は24ps。CBR250RRがダントツではありますが、それでも42ps止まりで、全体的に目に見えてパワーダウンしています。
さらに青春のゼロハン、50ccが往時の7.2psというのは夢のまた夢で、存続すら危ぶまれている状況。絶滅危惧種となっており、その背景にあるのは排ガス規制です。
直4エンジンで45psを発揮するカワサキ「ZX-25R」
では、これからどうなるのでしょうか。
250ccというクラスで比較すると目に見えてパワーダウンしていますが、排気量の大型化で対応する流れになっているのは皆さんも感じているところでしょう。免許制度も緩和されているので、昔の馬力を楽しみたいなら車検が必要になりますが400ccや600ccに乗ればいいわけです。
スーパースポーツなどリッターバイクの人気が高まっている点も、背景にはより小さい排気量のパワー不足というのもあるでしょう。つまり排気量を変えずにパワーが落ちたと嘆くのではなく、同じパワーを楽しむために、排気量を大きくするという流れができています。
そしてもうひとつが、新技術による進化です。上記で各社の現行250ccモデルの最高出力を紹介しましたが、そこで紹介しなかったカワサキ「ZX-25R」は直4エンジンで45psを発揮。各種規制が強まるなかで、可能性を見せてくれました。
これはカワサキが得意とするラムエアシステムはもちろんのこと、最新かつコストのかかる技術が存分に搭載されているからこそ実現できた1台。これからのスポーツモデルにも大きな可能性が残されていることを示唆してくれたと言っていいでしょう。
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