一体何を意味しているの? 高速道路で見かける「スピード低下に注意」の標識
バイクのニュース / 2023年5月2日 13時0分
高速道路を走行中、たびたび見かける「スピード低下に注意」の標識。一般道路よりもスピードを出す高速道路においてこの標識は、一体何を意味しているのでしょうか。
■高速道路で見かける「スピード低下に注意」
ツーリングなどで高速道路を走行していると、たびたび 「スピード低下に注意」と書かれた標識を見かけます。一般道路よりもスピードを出す高速道路において、この標識は何を意味しているのでしょうか。
高速道路で度々見かける 「スピード低下に注意」の標識は渋滞対策
じつは「スピード低下に注意」の標識は、渋滞が発生しやすい場所に設置されていること場合がほとんどで、高速道路の渋滞を緩和する目的で設置されています。工事や事故などの渋滞ではなく、交通の集中による「自然渋滞」を緩和するための標識です。
自然渋滞は、工事や事故などのはっきりした原因がないにもかかわらず、いつの間にか自然に発生する渋滞のことで、この自然渋滞がもっとも起こりやすい場所として挙げられるのが「サグ部」です。高速道路のサグ部は、下り坂から上り坂に変わる場所のことで、横から見たイメージではV字型のような形状になっている道路を指します。
渋滞の原因は事故や工事だけではない
では、なぜサグ部では自然渋滞が発生しやすいのでしょうか。
サグ部は下り坂がゆるやかに続いたあとに、上り坂がゆるやかに続くため、道路の勾配の変化に気づきにくいのが特徴です。そのため、平坦な道路を走行していると思い込み、一定のアクセルのまま走り続けてしまいます。
そうすると、サグ部の上り坂にさしかかった時にアクセルは一定のままなので、自然と速度が低下してしまいます。それがきっかけで、後方車両との車間距離が縮まるため、後続車はブレーキを踏まなければなりません。すると、さらに後ろのクルマも連鎖的に次々とブレーキを踏むことになり、どんどん渋滞が後続車に伸びていきます。
これが、サグ部の自然渋滞が発生するメカニズム。つまり「スピード低下に注意」の標識は、サグ部の上り坂で運転者が無意識に速度を落とさないよう、注意喚起をする事を目的に設置されているという訳です。
■他にもある!自然渋滞が発生しやすい場所
サグ部のほかに交通の集中による自然渋滞が発生しやすい場所として、「トンネルの入り口部」と「インターチェンジの合流部」が挙げられます。
トンネルの入り口も渋滞が発生しやすいポイント
トンネルの入り口付近が渋滞しやすい主な原因は、人間の心理的な傾向。明るい場所から急に暗くなるトンネル内に入ると、見通しの悪さや圧迫感により、無意識にスピードを落としてしまう運転者が多くなる傾向にあります。速度が低下することで後続車との車間が詰まり、次々と後ろのクルマがブレーキをかけて渋滞がつながっていくのです。
また、インターチェンジの合流付近では、走行車線のクルマが合流車に道を譲ることで後続車の車間が詰まり、走行車線の流れが悪くなるため、追い越し車線へ車線変更をするクルマが増加。そうなると追い越し車線の流れも悪くなり、後続車が次々とブレーキをかけることで、結果的に合流付近が集中的に渋滞してしまうという訳です。
NEXCO東日本が2021年におこなった調査によると、交通の集中が原因の渋滞のうち約63%が「上り坂・サグ部」となっており、次いで、「インターチェンジ・接続道路からの渋滞」が20%、「トンネル部」が10%となっています。
さらに、高速道路で発生する渋滞全体の原因に目を向けてみると、交通集中が約66%でもっとも多く、事故が約17%、工事が2%の割合。このことからも、高速道路で発生する渋滞の原因がサグ部に集中していることがわかります。つまり、速度の低下による渋滞が発生しやすいサグ部の上り坂付近では、「スピード低下に注意」の標識を掲げ、積極的に渋滞対策をおこなっているというわけです。
■標識だけじゃない!高速道路の渋滞対策
標識以外にも速度の低下による渋滞を緩和するために、さまざまな対策がおこなわれています。
高速道路には渋滞を軽減する様々な工夫が施されている
例えば、道路の側壁にペイントを施した「水平ライン」は、走っている道路が上り坂になっていることを視覚的に認識できる工夫となっています。
また、道路の側壁に一定の間隔で設置してある「エスコートライト(速度回復誘導灯)」は、進行方向へ向けて実際の速度よりも少し速いスピードで流れるように連続で点滅させることで、運転者の視線を誘導させて速度回復を促す工夫。
では、バイクで高速道路を走行中に渋滞に遭遇したら、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
まず、渋滞時の高速道路では、道路の左側に設けてある路側帯を走行するバイクをしばしば見かけることがあります。しかし、高速道路の路側帯は緊急車両の走行やトラブルなどで一時的に停車を余儀なくされた車両が使用するためのエリアであることから、車両の走行は原則禁止されています。
そもそも車両の左側からの追い越しは違反となるため、どんなに渋滞していても路側帯は絶対に走行してはいけません。
バイクは渋滞が苦手な乗り物であるため渋滞中は特に安全運転を心掛ける必要がある
また、バイクはクルマとは異なり低速ではより不安定になるため、停止と発進を繰り返す渋滞での走行が苦手な乗り物といえます。
そこでバイクの利点のひとつでもある「すり抜け」によって、渋滞を回避する方法をとるライダーも少なくありません。バイクのすり抜けについては、道路交通法で禁止する規定がないので、とくに違反になることはありませんが、バイクのミラーやハンドルが周りのクルマに接触したり、クルマの急な車線変更などで衝突するリスクが高まる行為。
そのためバイクでのすり抜けは、安全上は推奨される運転ではありません。事故を起こすと渋滞の原因となるだけでなく、怪我や死亡のリスクなどデメリットしかない為、渋滞中も安全運転を心がけましょう。
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