初号機はとんでもない異端児だった!? レースの世界で最も成功を収めたホンダ「NSR500」
バイクのニュース / 2023年6月5日 20時0分
「NS500」で念願のGP500クラス初タイトルを獲得したホンダは、その翌年にV型4気筒エンジンの本命マシン「NSR500」を投入しました。天地がひっくり返った車体レイアウトを採用したマシンの活躍は、大いにレースファンを魅了するものでした。
■チャンピオンゼッケンで登場
ホンダが現在のMotoGPへ繋がる世界グランプリ最高峰のGP500クラスで、1984年からか2002年までの19年間、数多くの栄光とドラマを生み出したのが「NSR500」であり、その活躍から「GP500クラス=NSR500」と連想するファンも多いのではないでしょうか。
2ストロークV型4気筒エンジンを採用した初代「NSR500」(1984年)
1984年の初代「NSR500」(開発コードNV0A)は残念ながら世界タイトルを逃しており、ゼッケン「1」は前年の2サイクルV型3気筒エンジンを搭載した「NS500」で獲得したものです。トリコロールカラーの初代から、翌1985年にはスポンサーであるロスマンズカラーとなります。
コンパクトかつ骨太な雰囲気の車体を見ると、2サイクルエンジンの象徴である排気チャンバーが完全に内蔵されています。燃料タンクをエンジン下に、排気チャンバーをエンジン上(本来燃料タンクがある位置)に配置する特異なレイアウトで、排気チャンバーとの干渉がないためアンダーカウルが後方に長く、さらに後方に向かって窄まるシートカウルと相まって、現代的とも思えるファルムを形成しています。
レース用マシンは市販車のような様々な制約が少ないため、とくにGPレースを走るファクトリーマシンなら、エンジンも車体も速さを追求するためにあらゆるアイディアと最新技術が試されています。
スペンサー選手が見ていたメーター周り。吸入ダクトは排気チャンバー冷却用
1970年代半ばから、2サイクルエンジン車が活躍するGP500クラスでは、ヤマハとスズキがタイトルを争っていました。2サイクル車では後発のホンダが1983年にV型3気筒の「NS500」でタイトルを獲得したものの、パワー競争を勝ち抜くには力不足だったため、4気筒エンジンを搭載した「NSR500」は、言わば本命のマシンでした。
初代「NSR500」は低重心化が開発テーマとなっており、トラクションコントロールなど無い当時、ハイパワー過ぎるがゆえのウイリーや後輪のスリップを軽減するため、低重心化は車体設計の要でした。
満タンになると重たい燃料タンクをエンジン下へ、薄板の軽量な排気チャンバーを通常では燃料タンクがある場所に通すという常識破りの上下逆転レイアウトを採用しています。
また、エンジンはライバルが敬遠していた、より高出力が狙えるV型4気筒1軸クランクシャフトタイプを採用し、山積する様々な課題を解決して完成した初代は、走り出す前からドラマを持って生まれたマシンでした。
排気チャンバーはエンジン上部を通ってシート下を抜け、シートカウル下部へ。外からは4本の後端だけ見えるアルミサイレンサー
1984年に天才ライダー、フレディ・スペンサー選手に託されてレースに臨み、GP500クラス決勝では2戦目のイタリアGPを含め4勝を記録(1勝は代役のランディ・マモラ選手によるもの)。シリーズランキングはスペンサー選手のケガによる欠場もあり4位に留まっています。
ホンダコレクションホールに展示された写真の初代「NSR500」は、そのイタリアGPでの優勝車両であると解説プレートに記してあります。
ホンダの技術的チャレンジスピッリットを具現化したような初代「NSR500」は、コースによってはライバルを圧倒する速さを見せつけ、また別のコースでは乗りこなすのが難しいマシンでもありました。
1961年にホンダとして世界GP初優勝を果たした「RC143」と並ぶ、初代「NSR500」
当時、レースのある週末は見ている側も「勝つことが最大の目的だ」と一喜一憂するものでした。あれから数十年経ったいま、タイトルを獲得できなかった初代「NSR500」が、世界GP初優勝を果たした「RC143」と共に特別なスペースに展示されています。
■ホンダ「NSR500」(1984年)主要諸元
エンジン形式:水冷2ストロークV型4気筒ケースリードバルブ
総排気量:499cc
最高出力:140PS以上
フレーム形式:プレスバックボーンダイアモンド
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ホンダ「DJ-1R」のF-1バージョン!! 地上最速のロマンを持つ誇り高き原付スクーター
バイクのニュース / 2024年6月10日 19時40分
-
「天才タマゴ」と呼ばれたミニバン! トヨタの初代「エスティマ」とは
バイクのニュース / 2024年6月9日 17時10分
-
【マン島TTレース】2024年も開幕 世界最古の公道バイクレースにはどんなカテゴリーがある?
バイクのニュース / 2024年5月28日 11時10分
-
公道版ホンダ「NSR」が登場!? グランプリの栄光とレーサーレプリカブームの沸騰
バイクのニュース / 2024年5月27日 19時40分
-
日本初のミッドシップ2シーターを当時は待ち望んでいた!トヨタ「MR2」とは
バイクのニュース / 2024年5月24日 13時10分
ランキング
-
1これするだけで筋トレ効果倍増!【医師解説】50代からの「たるんだ体」改善エクササイズ
ハルメク365 / 2024年6月15日 21時30分
-
2【ユニクロ】1番透けにくいのはどれ?夏に着たい「白Tシャツ」4つを比較!着心地やフィット感も比べてみた
isuta / 2024年6月15日 16時45分
-
3「大谷豪邸報道」「ポツンと一軒家」に覚える"不安" 上空から自宅を映すことの危険性を日本人は知らない
東洋経済オンライン / 2024年6月14日 19時0分
-
4【専門医が監修】「疲労度診断テスト」にトライ!効果的な解消法とは?
ハルメク365 / 2024年6月15日 14時50分
-
5トヨタ新型「スポーツコンパクト」発表! 全長4.3m以下ボディ&6速MTの設定アリ! ブレンボ製ブレーキも搭載の「GR86」墨に登場
くるまのニュース / 2024年6月15日 13時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)