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スペック表から読み解く! スポーツモデルとコミューターで異なる「変速機形式」とは?

バイクのニュース / 2023年8月17日 11時10分

バイクのカタログや、メーカーHPに掲載されている「スペック」や「仕様」、「諸元」の表には、購入時の参考やライバル車との性能比較など、役立つ情報が含まれています。「変速機形式」は、スポーツバイクの醍醐味にも繋がっています。

■ギアチェンジは、変速機のギアを切り替える作業

「変速機」は、「トランスミッション」や、省略して「ミッション」と呼ぶこともありますが、バイクに乗る上で馴染みのある言葉で言うと「ギアチェンジ」の「ギア」のことになります。坂道や平たん路などの走るシーンや、一般道と高速道路など速度域の違いに合わせて、扱いやすく効率の良い回転数の守備範囲を選択し、切り替える装置です。変速機付きの自転車をイメージすると分かりやすいでしょう。

変速機の段数を切り替えるシフトペダル。写真のヤマハ「SR400」は5速リターン式変速機の段数を切り替えるシフトペダル。写真のヤマハ「SR400」は5速リターン式

 スペック表の「変速機形式」を見ると、スポーツバイクの多くが「常時噛合式6段リターン」や「常時噛合式5段リターン」となっています。「常時噛合式(じょうじこうごうしき)」とは、変速機のギアが常に噛みあっている構造を示しています。

 たとえば6速のバイクだと、6組の変速ギアのセットすべてが常に噛み合って回転しています。ただし、シフトペダルの操作で選択した変速ギア以外は軸に対して空回りする構造になっていて、選択した変速ギアだけが軸を回し、エンジン(クランクシャフト)の回転をチェーンを介して後輪に伝えています。

 次に「6段リターン」とは、変速のためのシフトペダルの操作方法を示しています。一番下が1速で、一段上がニュートラル、その上が2速、3速……と並び、一番上の6速まで行ったら、折り返して(リターン)5速→4速……で、一番下の1速に戻ります。

スポーツモデルに多い「リターン式」スポーツモデルに多い「リターン式」

 ところで、初めて教習所(AT免許除く)でバイクに乗った時に「なんで1速と2速の間にニュートラルがあるんだろう?」と感じた方もいるのではないでしょうか。

 確かに一番下にニュートラルがあった方が、解りやすくてニュートラルを出すのも簡単に思えます。しかしそれだと、走行中に減速や停止するためにシフトダウンして行った際に、1速に入れたつもりが間違えて一番下のニュートラルまで下げてしまうと、エンジンブレーキも効かずにスーッと惰性で走ってしまうので非常に危険です。

 そこで、ニュートラルは走行中に敢えて入れにくい場所、かつ停止・発進に便利なように、1速と2速の間に配置しているワケです。

 ちなみに、昔はスポーツバイクでも一番下がニュートラルの「ボトムニュートラル式」がありましたが、現在はほぼ姿を消してしまいました。

■かつては利便性重視の「ロータリー式」も存在したが……

 リターン式は低いギアと高いギアを「行ったり戻ったり」して切り替える操作方法ですが、かつてのビジネス車などには「ロータリー式」という変速機構が存在しました(ホンダ「スーパーカブ」など)。

ホンダの「スーパーカブ」シリーズなどが採用する、走行中はリターン式で、停車中のみロータリー式になる変速方式ホンダの「スーパーカブ」シリーズなどが採用する、走行中はリターン式で、停車中のみロータリー式になる変速方式

 たとえば「4段ロータリー式」は、ニュートラル→1速→2速→3速→4速→ニュートラル……という具合に、回転(ロータリー)するようにギアを切り替えられ、逆回転(ニュートラル→4速→3速→2速→1速→ニュートラル……)も可能です。

 この方式はツマ先とカカトで操作できる「シーソー式シフトペダル」や、クラッチレバー操作が不要な「自動遠心クラッチ」と組み合わせられることが多く、頻繁に発進・停止を繰り返す郵便や新聞やなど配達業務で重宝しました。

 しかし、走行中に意図せず4速からニュートラルに入れてしまい、駆動力を失って危険な目に遭うこともありました。そのためか、現在はロータリー式の変速方法は姿を消してしまいました。

 しかしホンダは、現行の「スーパーカブ」(50、110、C125)や、このエンジンから派生した「クロスカブ」(50、110)、「CT125・ハンターカブ」、「ダックス125」に、走行中は4段リターン(ボトムニュートラル式)で、停車時のみ4段ロータリー式になる変速機構を採用し、安全性と利便性を両立しています。

■スクーターが採用する「Vベルト式」の無段変速

 スポーツバイクは常時噛合式でリターン式の変速機構が主流ですが、スクーターはホンダの「無段変速式(Vマチック)」、ヤマハの「Vベルト無段変速/オートマチック」、スズキの「Vベルト無段変速」があり、どれも名称が似ていますか基本的な構造も同様です。

ホンダの「無段変速式(Vマチック)」機構(写真はPCX)ホンダの「無段変速式(Vマチック)」機構(写真はPCX)

 こちらは変速ギアのセットではなく、樹脂製のVベルトをセットした「プーリー」が速度レンジに応じて幅を変える(すなわちプーリーのベルトがかかる直径が変わる)ことで、無段階で変速する機構です。

 自動遠心クラッチと組み合わせることで、クラッチレバーやシフトペダルの操作無しで走れるため、古くから排気量を問わずスクーター系に採用されています。

■誰もがスポーツ性を楽しめる「DCT」

 Vベルトを用いた無段変速ではなく、常時噛合式のスポーツ性をクラッチレバーやシフトペダルの操作なしで味わえるように、ホンダが独自に開発したのが 「電子式6段変速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」です(「ゴールドウイング」は電子式7段変速DCT)。DCT装備モデルはAT免許で乗ることができます。

ホンダ独自の「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」機構。現在は「ゴールドウイング」、「CRF1100Lアフリカツイン」などの2気筒1100シリーズ、「NC750X」、「X-ADV」などが装備するホンダ独自の「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」機構。現在は「ゴールドウイング」、「CRF1100Lアフリカツイン」などの2気筒1100シリーズ、「NC750X」、「X-ADV」などが装備する

 変速機構自体は従来の常時噛合式と同様ですが、油圧で作動する2つのクラッチ機構と、ギアを切り替える電気モーターを装備し、いずれも電子制御によりスムーズかつダイレクトな乗り味を生み出しています。また、スイッチ操作によってギアを選択することも可能です。

 ホンダ「CRF1100Lアフリカツイン」や、同系の直列2気筒エンジンを搭載する「レブル1100」、「NT1100」、「ホーク11」は、標準モデルの常時噛合式6段リターンと電子式6段変速(DCT)モデルの両方をラインナップしているのも、大きな特徴と言えるでしょう。

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