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バイクの冷却水、無くなったまま放置しておいてもいいのか?

バイクのニュース / 2023年8月16日 9時10分

水冷エンジンバイクに使用されている「冷却水」。バイクに乗っているうちに徐々に蒸発して減っていくので、そのまま補充しないと無くなってしまいますが、補充せずにそのまま放置しておいても問題はないのでしょうか。

■バイクの冷却水が無くなったまま走行…コレって問題ない?

 現在、市場に出回っている多くのバイクには水冷エンジンが搭載されています。バイクのエンジンが正常に稼働し続けるためには「冷却水」の存在が欠かせません。

 しかし、エンジンオイルなどは定期的に点検していても、「冷却水はほとんどチェックしたことがない」という人も多いかもしれません。もし、バイクの冷却水が無くなってしまった場合、そのまま放置しておいても大丈夫なのでしょうか。

冷却水とは、その名の通りエンジンを冷却するための液体のこと冷却水とは、その名の通りエンジンを冷却するための液体のこと

 冷却水とは、その名の通りエンジンを冷却するための液体のことです。クーラント液やラジエーター液、LLC(ロング・ライフ・クーラント)など、さまざまな呼び方がありますが、いずれも役割は同じです。

 通常の冷却水の主成分はエチレングリコールという不凍液で、それを水で薄めて防錆剤や消泡剤などが添加されています。融点は-12.6度で、水によく溶ける性質があり、水と混ざると融点がさらに下がるのが特徴です。そのため、氷点下の真冬でも凍ることがなく、サビや水垢の発生を抑えるようにできています。

 また、緑、ピンク、青など鮮やかな色がついているのも冷却水の特徴といえます。着色されているのは、冷却水が漏れたときなどに判別しやすくするためや、整備性を高めるなどの理由があるようです。

エンジンの周りに冷却水を循環させ、ラジエーターという装置で温まった冷却水が冷やされるエンジンの周りに冷却水を循環させ、ラジエーターという装置で温まった冷却水が冷やされる

 冷却水は、エンジン内部の熱を下げる役割を担っています。エンジンの周りに冷却水を循環させ、ラジエーターという装置で温まった冷却水が冷やされます。

 しかし冷却水は、100度を超えて高温になると気泡が発生して体積が膨張します。膨張した冷却水は内圧が上がり流路を破損させるおそれがあるため、逃げ道を作ってやらなければなりません。そこで活躍するのがリザーバータンクです。

 体積が膨張した冷却水は、リザーバータンクという補助用のタンクに一時的に溜められます。そして、エンジンの温度が下がると、冷却水は再びラジエーターに戻るようになっています。

 このように、冷却水はラジエーターとリザーバータンクの間を行き来しながらエンジンが高温になるのを防いでいるのです。

 冷却水で特に注意したいのが、走行中のトラブルによる冷却水の漏れです。冷却水が漏れていると、LLC特有の甘い香りがして色も付いているのですぐわかります。また、走行中に水温計が異常に上昇したり、水温警告灯が点灯する症状がでた場合も、冷却水が漏れている可能性が大きいです。

冷却水を確認するため、むやみにラジエターキャップを空けてはいけない冷却水を確認するため、むやみにラジエターキャップを空けてはいけない

 そのまま走り続けると、冷却水が空っぽになることもあり、オーバーヒートして最悪エンジンが焼き付き壊れてしまうケースもありえます。もし、走行中に冷却水の漏れを確認したら、ただちにエンジンを停止させ、すみやかに安全な場所にバイクを移動させることが重要です。

 なお、このとき冷却水を確認するため、むやみにラジエターキャップを空けてはいけません。エンジン停止直後の水温は非常に高温になっているため、空けた瞬間に冷却水が吹き出して火傷を負うおそれがあります。

緊急の措置として、漏れた冷却水の代わりに水道水を補充しても問題はありませんが、カルシウムやナトリウム、塩素などの成分が含まれており、サビを発生させる原因になる緊急の措置として、漏れた冷却水の代わりに水道水を補充しても問題はありませんが、カルシウムやナトリウム、塩素などの成分が含まれており、サビを発生させる原因になる

 緊急の措置として、漏れた冷却水の代わりに水道水を補充しても特に問題はありません。水道水は比熱が小さいため、エンジンを冷やすための性能は十分にもっています。ただし、水道水には、カルシウムやナトリウム、塩素などの成分が含まれており、冷却回路内やラジエーターにサビを発生させる原因になります。

 そのため、一時的な代用として水道水を使用するようにして、必ずあとから新しい冷却水を入れ直すようにしましょう。

 冷却水は、エンジンオイルのように頻繁に交換する必要はありません。しかし、乗り続けているうちに量が減ったり劣化していくため、適切な時期がきたら補充や交換をする必要があります。

各バイクメーカーから販売されているLLC各バイクメーカーから販売されているLLC

 現在、冷却水として主流となっている「LLC」で、交換のサイクルは2年から3年が目安となっています。そのため、251cc以上のバイクであれば車検ごとに交換するように決めておくと、未然にトラブルを防ぐことができ安心かもしれません。

 また近年は、さらに耐用年数が長い「スーパーLLC」と呼ばれるものもあり、その交換時期は、7年から10年と非常に長寿命となっています。そのため、一度も冷却水を交換せずにバイクを乗り換えるというケースも珍しくありません。

 交換時期が過ぎても、冷却水が適量入っていれば、すぐバイクに不具合が起こることはほとんどありません。ただし、突然のトラブルを避けるためにも、冷却水の交換時期はしっかり守ったほうがベストといえます。

 また、冷却水は長期間の使用で少しずつ蒸発するので、減った分を補充しなければなりません。冷却水の量をチェックするときは、リザーバータンクの目盛りを確認します。「FULL/LOW」または「MAX/MIN」などの目盛りの間に液面が収まっていれば適正量です。

 このとき、量が不足している場合は同じ色の冷却水を入れるようにします。違う色の冷却水を混ぜてしまうと濁った色に変色してしまい、劣化や漏れが発生していることに気づきにくくなるので注意が必要です。

冷却水の量が不足している場合は同じ色の冷却水を入れるようにする冷却水の量が不足している場合は同じ色の冷却水を入れるようにする

 なお、冷却水にはバイク用として販売されている商品があります。ただ、バイクにクルマ用の冷却水を使用しても特に問題はありません。

なぜなら、どの冷却水でも成分や性能は基本的に同じだからです。大型バイクから原付まで、排気量に関係なくどの車種でも使うことができます。そのため、バイクにクルマ用の冷却水を入れたとしてもトラブルが発生することはないのです。

 冷却水の購入で迷ったときは、メーカー純正のものを選んでおけば間違いないですが、好みのカラーで選んでみるのも良いかもしれません。

※ ※ ※

 冷却水は、エンジンを正常な状態に保つために欠かせないものです。万が一、漏れなどに気づかずに、冷却水が無くなったまま走り続けると、エンジンブローが起こりバイクに重大なダメージをおよぼしかねません。

 愛車と良い状態で長く付き合っていくためにも、定期的に冷却水のチェックを怠らないようにしましょう。

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