e-BIKE（電動アシスト自転車）の登場で様変わりするかもしれない「はたらく自転車」たち

パトカー、消防車、救急車などと同じように、私たちの社会生活を維持するためになくてはならない「はたらく自転車」の存在。現在はクルマやバイクの補助的な存在ですが、e-BIKEの登場でその存在感は変わるかもしれません。

■いろいろある「はたらく自転車」、じつは現代にマッチしている？

　パトカー、消防車、救急車など、世の中にはたくさんの「はたらくクルマ」があります。さまざまな職業でクルマは使われていて、私たちの社会生活を維持するためになくてはならない存在であり、小さな子供たちにとっては憧れの対象になることもあるでしょう。

インターネットやスマホはもちろん、TVがまだ一般家庭に普及していなかった時代、紙芝居自転車は子供たちの娯楽のひとつだった

　流石にそこまで様々な種類が存在するわけではありませんが、自転車にもさまざまな場面で活躍する「はたらく自転車」があります。そしてそれらの自転車は今後、もっと注目を集めるようになるかもしれません。

「はたらく自転車」と言って最初に郵便配達の自転車を思い浮かべる人も多いと思います。街中でも見かけることが多く、あまりに日常に溶け込んでいるので、逆に意識しないほどかもしれません。自転車が郵便物の配布に使われるようになった歴史は意外と古く、明治25年（1892年）には使われていたと考えられています。

　その次に思い浮かべるとしたら、新聞配達の自転車でしょうか。早朝や夕方など、街が静かなところに響くチェーンが擦れる音やスタンドの上がる音など、なかなか趣のある風景です。普通のママチャリで配達している新聞屋さんもありますが、配置されている自転車はたくさんの新聞を乗せて走れるようにカスタムされているものも多くあります。車体そのものの強度が高かったり、重い荷物が支えられるようにスタンドがかなり太く頑丈なものになっているなど、細かく見ると、働く人を支えるための気配りが感じ取れると思います。

　ほかにも街中でよく見かけるとしたら、交番にいる制服姿の警察官、いわゆるお巡りさんが使っている通称「白チャリ」と呼ばれる自転車でしょうか。基本的には白で統一されたフレームに、交通整理や車両誘導などで使用される棒状のライトを差し込むことができるアクリル製の筒を装備し、後ろの荷台に書類などを運ぶための四角いボックスが取り付けられています。

　また、いまではなかなか見ることができなくなってしまった「はたらく自転車」として、荷台に箱を取り付けて中に商品を入れ、街中を巡回する行商用の自転車もあります。まだまだスーパーやコンビニが発展する以前の話ですが、店の人が自転車に乗って家の近くまで商品を売りに来てくれるという、いま考えると非常に便利ではないかと思える時代もありました。「パ～！　プ～！」という独特のラッパの音に呼ばれて、豆腐を買いに行った思い出も、いまや遠い昔の記憶です。

　レトロな思い出では、紙芝居自転車も忘れられません。いまのご時世ではなかなか想像できませんが、テレビが普及する前の昭和20年代から30年代にかけて、荷台に紙芝居を乗せてやってくる自転車は子供のたちの娯楽のひとつでした。

　そんな数々な種類がある「はたらく自転車」ですが、バイクやクルマのように重たく大きなものを運んだり長距離を走れるわけではないので、あくまで補助的に使われてきましたが、それも電動アシスト自転車（e-BIKE）の登場で変わっていくかもしれません。

　電気の力で補助することで、自転車はより少ない力で長い距離を移動できるようになり、重いものでも運ぶことができるようになってきました。実際、都市部などでは荷物の宅配に、カーゴを牽引したe-BIKEが使われるシーンを見かけることが多くなってきました。

　地球環境に関わる問題が大きくクローズアップされる現代において、エコな乗り物である自転車の活用は重要なカギになってくるのではないでしょうか。現時点では法規制などによってe-BIKEのアシスト速度や出力は規制されていますが、重要性が認められ、道路環境などが整備されることで「はたらく自転車」がますます発展していく未来もありそうです。