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《経済再生相に起用》石破茂最側近・赤澤亮正が買った疑惑の香港カジノ株「政治資金規正法と資産公開法違反疑惑も…」

文春オンライン / 2024年10月1日 6時0分

《経済再生相に起用》石破茂最側近・赤澤亮正が買った疑惑の香港カジノ株「政治資金規正法と資産公開法違反疑惑も…」

©時事通信社

 9月27日、「裏金問題」の責任を取る形となった岸田文雄前総裁に代わり、自民党新総裁に選ばれた石破茂氏(67)。新しい閣僚人事が次々と決定されていく中、「政治とカネ」に絡む“石破氏最側近”も名を連ねていた。その人物と疑惑の中身について報じた記事を再公開する。(初出は週刊文春2023年11月30日号)

――週刊文春です。

「今、地元の農業祭りを四、五カ所回っている所で今から挨拶をしないといけないんですが。質問のポイントをショートメールなりで送って頂けないでしょうか。どうも週刊文春と名前を聞くだけで、我々はドキッとしてしまいますが……」

 小誌の電話取材にそう語ったのは、赤澤亮正新財務副大臣(62)である。

 11月9日発売号で報じた神田憲次財務副大臣(当時)の税金滞納問題。その後、11月12日夜に虚偽答弁疑惑、13日朝には資産公開法違反疑惑を報じたところ、13日昼、神田氏は事実上、更迭された。

「これ以上、財務副大臣にカネを巡る問題があってはならない。そこで起用されたのが、副大臣経験者の赤澤氏でした」(政治部デスク)

 赤澤氏は東大法学部を卒業後、旧運輸省を経て、2005年の郵政選挙で初当選。鳥取2区の選出で現在当選6回だ。同じ鳥取県が地元の石破茂元幹事長の側近として知られている。

「祖父は自治相などを歴任した赤澤正道氏(故人)。大学入学時に祖父の養子に入り、当時の森姓から赤澤姓になりました」(同前)

 そんな赤澤氏は前任の神田氏と異なり、本当にカネの問題がないのか。緊急の“身体検査”を実施した。

 まず、政治資金から見てみよう。赤澤氏の後援会長が代表を務める「赤沢りょうせい後援会」。政治資金パーティを開催し、年3000万円超の収入を得るなど赤澤氏の主力政治団体だ。

記載がない約1500平米の土地

 この後援会に19年から21年まで、地元林業会社の代表取締役社長が毎年100万円献金している。一方で、同社は森林整備に関わる国の事業を巡り、6000万円超の補助金を受給してきた(「林業・木材産業成長産業化促進対策交付金(昨年度)」で約4700万円、「森林整備・林業等振興整備交付金(昨年度)」で約1500万円)。

 政治資金などに詳しい神戸学院大の上脇博之教授が指摘する。

「政治資金規正法は、国から補助金を受けた企業が、交付決定を受けてから1年以内に政治献金を行うことを原則禁止しています。今回の場合は、それに直ちに該当はしないものの、献金者が代表取締役社長で献金額も年100万円と高額であることを踏まえれば、事実上の企業献金と言える。法の趣旨に反しており、政治的・道義的には非常に問題のある献金です」(林業会社は「法令を遵守し、適正に行っている」などと回答)

 続いて、資産に関してはどうか。目につくのは、鳥取県内に保有する複数の土地。例えば、米子市内の畑(約500平米)は正道氏から相続し、現在も赤澤氏が保有している。米子市内の宅地(約800平米)は正道氏の妻から相続し、昨年3月に売却していた。

 そんな中で問題は、米子市内の山林(約1500平米)だ。1968年に母(正道氏の長女)と共同購入するなどしているが、これらの土地について18年の資産等報告書に記載がなく、資産公開法違反の疑いがある。

 さらに――。

 不可解なのが、その保有株式の種類である。株式投資を行う政治家は少なくないが、朝日新聞(06年2月20日付夕刊)によれば、初当選した翌06年の資産等報告書では、「ペトロチャイナ(中国石油天然気)」や「シノペック(中国石油化工集団)」など中国株7銘柄、計約2万9000株の保有を記載していたという。

 以降も、中国株の保有が目立つ。18年の資産等報告書によれば、「ダタンゴージーファディエン(大唐国際発電)」株を8000株、「ビンハイインベストメントカンパニー(濱海投資)」株を8000株保有。なぜ、これほど中国の、しかも個別株に手を出しているのか。

「彼は官僚時代からITが得意。『中国経済を知るには株をやれ』と先輩から助言を受け、インターネットで中国株の売買を盛んにやるようになったと聞きました」(赤澤氏の知人)

 赤澤氏が持つ中国株はもう一つある。18年の資産等報告書では「エナーチャイナホールディングス(威華達控股)」株を1000株、昨年の資産等報告書ではエナーチャイナから社名変更した「オシドリインターナショナルホールディングス」株を200株保有していた。一体、どんな会社なのか。

「実は、オシドリはカジノを巡る事件で注目を集めた企業です」(社会部記者)

「役人の時に株取引をやって」

 長崎県のIR(カジノを含む統合型リゾート)事業で21年夏の二次審査まで最有力視されていたのが、オシドリの子会社で、香港のカジノ業者「オシドリインターナショナルデベロップメント」だった。二次審査では次点に終わったが、

「公明党では数少ないIR推進派で、貸金業法違反で有罪判決を受けた遠山清彦元財務副大臣と接点を持っていたことが物議を醸しました」(同前)

 事実、当の遠山氏が一昨年8月、小誌の取材に「オシドリの関係者とは電話でやり取りをしています」と認めている。そんなオシドリ株を保有していた赤澤氏だが、そこに問題はないのか。

「彼もまた、カジノ解禁法案の成立を目指す超党派の議員連盟『国際観光産業振興議員連盟』(通称カジノ議連)のメンバーでした。自民党国土交通部会長だった13年11月には、この法案の取りまとめを主導している。20年9月から1年間、IRなど成長戦略を担当する内閣府副大臣を務めていました」(自民党関係者)

 すなわち、カジノの旗振り役でもある赤澤氏が、長崎IRへの参入が一時は最有力視され、将来的に多額の配当も得られる可能性があったオシドリ株を保有していたことになる。

「オシドリ株の保有は政府のIR事業の在り方を不当に左右する恐れがあるため、行政の公平性、透明性の観点から疑念が生じる。赤澤氏には説明責任が問われます」(前出・上脇氏)

 “滞納副大臣”に続き、カネや株を巡る問題が次々発覚した新副大臣。果たして、本人はどう答えるか。11月18日午前、赤澤氏の携帯を鳴らしたところ、冒頭のように「ドキッとした」と口にしたのだった。

――なぜ中国株を保有?

「議員になったので、もう株は触っていない。持っている株も10年、15年以上触っていないんです」

「ちょっと面白いなと思って株式取引をやっていた時期があって」

――IRで疑惑も出たオシドリ株を持っている?

「オシドリって会社がある? もし会社の名前が変わっていたりするとね、買った時の名前じゃないと分からないかもしれない」

――昔の名は、エナーチャイナホールディングス。

「エネルギー関係ですか? 何か、確かに役人の時にちょっと面白いなと思って株式取引をやっていた時期があって……。役人時代の名残だと思いますが、もう売買すること自体が届け出とか結構うるさいので」

 改めて書面で見解を尋ねたところ、11月20日、主に次のように回答した。

「(政治資金規正法違反疑惑は)法令に従って、適正に寄附を頂いている。(資産公開法違反疑惑は)確認をした上で、訂正が必要であれば適切に対応します。(中国株保有は)外国株は特定口座による管理になっています。07年を最後に以後16年にわたり株式の売買はしておりません」

 岸田政権の“不適材不適所”はまだまだ続く。

 「週刊文春電子版」では、衆議院解散時の 「全選挙区当落予測リスト」 など記事を配信中だ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年11月30日号)

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