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菅田将暉の何が凄いのか?黒沢清監督が驚いた二つのシーン

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年10月5日 12時15分

 「“一通りの操作をした後は少し離れて見守る”ぐらいのイメージは持っていましたが、それがどういう芝居になるのかは想像していませんでしたし、菅田さんに(商品が完売した時に)どういうリアクションをとるのかということは伝えていません。吉井の目はPCに集中しているのですが、売り時とか買い時とか、冷静な判断を要求される状況下で、あまりのめり込むと多分冷静さを見失ってしまう。ですから、一通り転売の操作をし終えたら一旦PCから離れて、少し客観的に冷静になって観察するというプランを考えていましたが、菅田さんのおかげで冒頭から極めて印象的な吉井らしさが表現できたと思います」

 もう一つ、黒沢監督が全く指示をしていないにもかかわらず菅田に舌を巻いたというのが、恋人・秋子(古川琴音)とのシーン。「ネタバレになるので詳細は伏せますが、吉井が死闘を潜り抜けたあとに秋子が現れ、“秋子、良かった”とつぶやく。なんとも哀れというか、間抜けといえば間抜けとも言えるんですが、あの最後の吉井の無防備な表情は感動的です」

 「いいよ」一つでさまざまな感情を表す菅田。本作は第97回米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品に選出されたことでも注目を浴びているが、菅田の真骨頂ともいえる名演が詰まっている。(編集部・石井百合子)

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