「光る君へ」脚本・大石静、“ラブストーリー大河”は予想外の反響 「吉高さんと柄本さんがステキ過ぎて…」
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月1日 20時45分
吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)の脚本を務めた大石静。自身、2度目となる大河ドラマでは平安時代を舞台に、「源氏物語」の作者・紫式部を主人公にした物語に挑み、毎回放送されるたびに多くの関連ワードがSNSを沸かせた。なかでも注目を浴びたのが主人公・紫式部(まひろ/吉高由里子)と平安貴族社会の最高権力者として語り継がれる藤原道長(柄本佑)との恋愛模様だったが、大石はこの反響を「もちろん2人のラブスストーリーの側面が素敵でなければとは思いましたが、ここまで“ラブストーリー大河”にくくられるとは予想外でした」と振り返っている。
大石にとって大河ドラマの執筆は、戦国武将・山内一豊を支え「内助の功」と語り継がれる妻・千代を主人公にした「功名が辻」(2006)以来。「光る君へ」は、2021年から2024年9月にかけて約3年をかけて書き上げた。大石は「制作統括の内田ゆきさん、チーフ演出の中島由貴さんから最初の依頼を受けた時からこの大河ドラマは紫式部の生涯を描くもので、『源氏物語』は劇中劇でも一切出さないことは決まっていました」と言う。「今も世界的に評価の高い『源氏物語』を生んだ女性はどういう人で、どういう人生を生き、どういう想いでこの物語を生んだのか。他の女流文学者との個性の違いはどういうものだったのか。その頃の日本はどういう世であったのか。摂関政治とはどういうものであったのかを、ドラマチックでスリリングな人間ドラマとして描こう」と三人で話しました。
下級貴族のまひろと上級貴族の道長は幼いころに出会い、身分の差を超えて絆を育み、離れようと思っても離れられない特別な関係を継続。道長が左大臣の娘・倫子(黒木華)と、まひろが父・為時(岸谷五朗)の友人・宣孝(佐々木蔵之介)と結婚してからも強く惹かれ合い、道長の依頼でまひろが「源氏物語」を執筆する……という流れだった。
まひろと道長の秘密の逢瀬、キスシーンなどラブストーリー展開が大きな反響を呼んだが、大石自身は「ラブストーリーばかりを売りにするつもりはなかった」という。
「よく“ラブストーリ大河”と言われますが、やや抵抗があります。なぜならまひろと道長の2人のシーンは極めて少なく、ほとんど内裏での権力闘争を描いていたからです。兼家と円融、道長と一条、三条のせめぎ合いと摂関政治の実態をじっくり描いたつもりでした。それといろいろな身分の親子や兄弟の情を大切に描きました。ですが、まひろと道長の吉高さん、柄本さんがあまりにもステキで、皆さんが2人のシーンに胸キュンして下さり、すっかりラブストーリー大河のイメージになったのだと思います。他の組み合わせでは考えられないと思うほど、芝居の相性のいい2人でしたし、役者だけでなく、中島由貴チーフ監督、黛りんたろう監督、原英輔監督が演出したラブシーンは、本当に艶っぽく切なく見事でした。大河史に残って欲しいです」
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