時として「家族」は、逃げたくても逃げられない場所になる【石井ゆかりの幸福論】
ココロニプロロ / 2019年9月25日 18時45分
大人気のライター・石井ゆかりさんによる連載コラムが登場! 占いを通して、数々の人生や幸せのあり方を見つめてきた石井さん自身の言葉で紡がれる「幸福論」をお楽しみください。
今回は、「石井ゆかりの幸福論」第4のテーマ「帰るべき場所」と幸福(後編)をお届けします。
■ 4.「帰るべき場所」と幸福。(後編)
私たちは生まれてから成長し、成熟するに至るまで、「外の世界へ、もっと高い場所へ」と、植物が空に向かって伸びるように、ひたすら「ここではない、どこか」を目指します。ですが、そのもっとも力溢れる時間を生きた後で、今度は人生の下り坂にさしかかります。12ハウスの一番最後はもちろん「第12ハウス」なのですが、星占いの世界では不思議なことに、ここが「人生のゴール=死」とは設定されていないのです。この場所は自己犠牲や隠遁、隠れ場所などを意味します。
第12ハウスの先にはなにがあるかというと、「第1ハウス」、即ち「始まりの場所」が位置しています。これは、たとえば長い間組織にあって仕事をして勤め上げ、定年を迎えて引退し、そこで肩書きのない「一個人」として新たな人生に再出発する、というイメージを思い浮かべると、なんとなく納得がゆきます。「一人の人間としてもう一度、生まれかわる」「新しい個性を生きなおす」ような展開が、ここに待っているのです。
誕生し、成長し、成熟し、引退し、枯れて消えるのではないのです。少なくともホロスコープの仕組みにおいては、そうなっていません。人生を終えたかに見えた「引退」のあと、最終的な着地点の手前に不思議な「再生」が置かれています。
生まれてからこの世を発見し、他者とコミュニケーションを交わして「自分」になる、「この世界」と「自分」とのつながりをもう一度ゼロから確かめるプロセス。私たちの老年期にはそのプロセスが待っているのかもしれません。
最後にくるのが第4ハウスです。居場所、家、自分の人生全体を収める器のようなものが、そこに置かれています。
居場所や家族は一般に、人を温め、守り、育ててくれる場所であり、いざというときに駆け戻れるような安心できる場所です。「家族のために」生きている、という人は決して少なくありません。
ですがその一方で、「家」「家族」は、人を縛り、振りまわし、抑圧し、時には深く傷つけてくる世界となることもあります。逃げたくても逃げられない場所、「逃げたい」と思うことすら許されない世界。「家」によって傷ついた人は、世の中に驚くほどたくさんいます。
生まれおちた「生家」を、私たちは選ぶことができません。
でも、最終的に「帰り着く場所」は、少しは選択の余地があるようにも思われます。もちろん、人生の変転のなかで「ここにいることを余儀なくされる」「外に出ることができない」状態になる人もたくさんいます。ただ「生まれた場所」よりはわずかに、「選べる」部分はあるのではないかと思うのです。
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