BMW Concept Active Tourer(コンセプト・アクティブ・ツアラー)新車情報 BMWなのにFFベースのPHV!【ニュース・トピックス:BMW】
CORISM / 2012年9月19日 8時8分
エンジンは前輪を駆動。モーターは後輪を駆動するFFベースのPHV
BMWは2012年パリショーに、躍動感あふれるスタイルを持ち、快適性と機能性を備えた室内空間が与えられた初めてのプレミアム・コンパクト・カーとして、BMW Concept Active Tourer (コンセプト・アクティブ・ツアラー)を出展した。このBMWコンセプト・アクティブ・ツアラーに搭載されるのは、新世代の直3の1.5LBMWツインパワー・ターボ・エンジンで前輪を駆動するというもの。さらに、モーターが加わり後輪を駆動するという状況により4WDとなるPHVなのだ。
BMWブランドなのに、基本がFFであるということや、滑らかな回転フィーリングがウリのBMWが、熱効率には優れるものの、振動などで不利と言われている3気筒エンジンを選択しているのには驚きだ。振動対策としては、バランサーシャフトを搭載しているという。
BMWコンセプト・アクティブ・ツアラーが採用しているプラグイン式ハイブリッド・システムは、電気駆動と従来の内燃機関の理想的な組合わせを目指したもの。PHVは、将来、極めて重要な役割を果たすことになるとBMWは考えている。PHVは、電気のみで走行した場合、20kmを優に超える航続距離を発揮し、短距離ではEVとして、長距離でもエンジンと電気の駆動においても効率的な走行が可能で、走行距離に不安があるEVと比べると、短期的には現実的なシステムだ。
エンジンとモーターを組み合わせたシステム出力は140kW/190PSを上回り、優れたスポーツ走行性能と、極めて低い燃費や排出ガス値を同時に達成する。0-100km/hまでの加速は8秒以下であり、最高速度は約200 km/hに達する。ハイブリッド車は、遅いというイメージはなく、さらに、平均燃費は2.5L/100km以下であり、CO2排出量は60g/km以下を発揮するという。
トヨタとの技術提携で噂されるハイブリッド技術ではなく、BMWグループで独自開発したという。このコンセプト・アクティブ・ツアラーの満充電でEV走行できる距離は、30 km以上。通常の日常生活では、ほぼEV走行が可能で大部分を完全なゼロ・エミッションでドライブすることができる。
さらに、モーターをブースト機能として使えば、急加速が必要な場合などの補助動力として活用できる。瞬時に、200Nm以上の最大トルクが供給される。
搭載されるリチウムイオン・バッテリーの容量は、今のところ非公表。30kmのEV走行が可能ということなのでプリウスPHVと比較すると、プリウスPHVが4.4kwhでは、24.4kmのEV走行が可能。同程度の電費とするならば、プリウスPHVよりやや大きめの5~6kwh程度の容量をもつリチウムイオン電池を搭載していることが考えられる。この電池は、欧州の家庭用220Vのコンセントから充電が可能だ。
ドライブの効率を向上させるために、コンセプト・アクティブ・ツアラーでは、前後の両アクスルからエネルギーを回収し、リチウムイオン・バッテリーに蓄電できるようになっている。減速するたびにモーターは自動的にリヤ・アクスルから最大のエネルギーを回収し、エンジンに連結された高電圧オルタネーターは必要に応じてバッテリーを再充電する。
また、プリウスなどの動力分割式のハイブリッドにはできない機能がある。50~160km/hの速度範囲で2段階にわたっていわゆるクルージング・モードが働く。このクルージング・モードは、125km/h以下で惰性走行時にはエンジンは完全に停止。160km/hまでの速度域では、エンジンとドライブトレインとの結合が切り離され、既に発生している運動エネルギーを最大限に活用し低燃費化をアシストする。100km/h以上での高速走行が多いヨーロッパでは、プリウスなどのハイブリッド車はエンジンが動いている状態がほとんどであり、燃費がそれほど良くならないという。日本ではそれほど気にならないのだが、ハイスピード移動するアウトバーン的思考のクルージング・モードだ。
さて、そんなBMWコンセプト・アクティブ・ツアラーだが、スタイルは全長4353mm、全幅1834mm、全高1560mmというサイズをもつ。2670 mmのロング・ホイールベース、高いルーフ・ライン、エンジン横置きの前輪駆動によるコンパクトな設計により、キャビンの空間が広く確保されている。リチウムイオン電池は、すべて床下に搭載しているため、スペースを犠牲にしていない。少々ボディはワイドだが、イメージ的には、メルセデス・ベンツのBクラスと同等。
なぜ、BMWがあえてFRではなくFFベースのPHVのコンセプトカーをリリースしなければならなかったのか。BMWによると、このクラスは今後10年間で、プレミアム・クラスのスモール・カーおよびコンパクト・カーは年率最大5%の成長が見込まれているという。先進国のマーケットは成熟し、大きく販売台数を伸ばすことが見込まれない中、毎年成長することが望まれる自動車会社にとって、年率最大5%というマーケットを簡単に見過ごすことはできないのは当然だ。BMWコンセプト・アクティブ・ツアラーは、PHVというシステムを武器にレッドオーシャン戦略を担うコンパクトカーなのだろう。
また、後輪にあるモーターとPHVシステム類を取り外せば、通常のガソリン車として流用することも可能。ライバルメルセデス・ベンツBクラスと勝負するために、まずガソリン車として、登場も十分考えられるBMW Concept Active Tourer(コンセプト・アクティブ・ツアラー)だ。
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