猫と暮らす理想の家とは? ペット共生住宅のパイオニアに聞いた 猫も人も安心で快適な家づくり
CREA WEB / 2024年3月16日 11時0分
一生の大半を室内で過ごす猫にとって、家の中が世界のすべて。近年は猫の長寿化も進み、ケガや病気を予防する観点からも、今後ますます猫のための家づくりが重要になっていきます。
“賃貸住宅だから”“部屋が狭いから”と諦めていた人も必見!
今回は、人とペットが暮らす家をつくり続けて20年以上という「旭化成ホームズグループ(HEBEL HAUS)」に、猫も人も快適に暮らせる家づくりのヒントを伺いました。
ペットは家族の一員。HEBEL HAUSが取り組む「ペット共生」への思い
ペットフード協会が発表した「2023年全国犬猫飼育実態調査」によると、室内飼いの猫の推定飼育数は約906万9,000頭で、前年から約23万頭も増えていることがわかりました。
HEBEL HAUSでおなじみの「旭化成ホームズグループ」は、こうしたペットと暮らす時代の到来を早くから予測し、1998年に「ペット研究会」を発足。以来研究をかさね、2000年にペット共生住宅「へーベルハウス +わん+にゃん」を、2006年にはペット共生型賃貸住宅「ヘーベルメゾン +わん+にゃん」を発表しています。
人とペットが暮らす家の研究に取り組み続けるパイオニアに、猫にとって理想の家とはどういうものかを伺いました。
お話を聞かせてくださったのは、旭化成ホームズ LONGLIFE 研究所長を務める河合慎一郎さんと旭化成不動産レジデンスでペット共生型賃貸住宅の管理・運営に携わる獣医師・佐々木亜子さんのおふたりです。
「ヘーベルハウスのペット共生住宅は、単に“ペット飼育可”だけで終わらず、ペットと暮らすことを目的として設計された住宅です。具体的には、ペットが暮らしやすい設計と仕様を備え、来訪者や近隣への配慮も強化することで、飼い主様も近隣の方も安心で快適に暮らせる社会づくりにも貢献していきたいと考えています」(河合さん)
旭化成ホームズのペット共生住宅は、戸建ての注文住宅から始まり、現在はペット共生型賃貸住宅も展開。首都圏を中心に、東海、関西、西日本にもエリアを広げ、管理戸数は約13,000戸にものぼると言います。
「ヘーベルメゾンのペット共生型賃貸住宅は、ペットと暮らしている方を最優先に、これからお迎えする予定がある方なども含めて、ペットにご理解がある方のみご入居いただけます。現在、犬と猫の飼育率はほぼ同じ割合で、お互い遠慮することなく堂々とペットと暮らせますので、入居者様同士のコミュニケーションもとても円滑です」(佐々木さん)
さらに心強いのは、物件の管理・運営に携わる佐々木さんが獣医師でもあるということ。専属獣医師として、入居者のペットに関する無料相談にも対応しているので、特に病院嫌いな猫の飼い主さんに好評だそう。
ほかにも、ペットシッターをお得に利用できるサービスなどもあり、警戒心が強い猫に極力ストレスを与えず、慣れた場所でお世話してもらえるのも安心です。
「専属獣医師がいる住宅メーカーは全国でも珍しいと思いますが、これこそ旭化成ホームズグループが考える”LONGLIFE(ロングライフ)”のあり方を体現しているもののひとつです。建物が長持ちすることはもちろん重要ですが、そこにお住まいの方たちの”暮らしのいいところを長続きさせる”ことが、私たちが目指すLONGLIFEです。
ペットに関しても、一緒に住める場所だけでなく、”共に生きるためにはなにが必要か”ということをペットと人の両方の立場から考えて、暮らし方もサポートしていきたいですね」(河合さん)
猫が本能のままに暮らせる理想の空間とは?
ペットと人の快適な暮らしを長年研究してきた旭化成ホームズグループが考える、猫にとって理想の空間とはどういうものなのでしょうか?
ペット共生住宅を例に獣医師の視点も交えて佐々木さんに教えてもらいました。
●室内キャットドア
「人とペットが共生するためには、ペットの本能や習性を理解することが大切」という佐々木さん。猫の場合、居心地のいい場所を探し求めて移動するのが大好きなので、『室内キャットドア』があると行動の自由度が高まり、ストレス軽減につながるそう。
また、キャットドアがあればドア本体は閉めたままにできるので、光熱費を節約できて一石二鳥。工事不要のパネルタイプのキャットドアもあるので、賃貸の方もぜひチェックしてみてくださいね。
●キャットタワー
高い場所や縦の移動を好む猫。そんな立体的な動きを引き出せるのが『キャットタワー』です。「高い位置から部屋全体を見渡せると猫は安心します。来客時には避難場所としても大活躍」
キャットタワーを置く場所が取れない場合は、段差のあるラックや収納棚で代用することも可能。「自然に昇り降りできるものがあれば、立派な運動になりますよ」
佐々木さんによると、猫の運動不足は部屋の広さはさほど関係なく、飼い主さんの努力不足が原因という場合も。特に、成猫になると一人遊びをしなくなるので、飼い主さんが一緒に遊んであげたり、おやつをあげる時も棚の一番上に置いて昇り降りさせたりすると、コミュニケーションも深まって、いいこと尽くしです。
●外が見える窓
暖かな日差しが注ぐ窓辺は、猫にとってリラックスできる憩いの場。「外を眺めるのが好きという習性もあり、窓辺は猫にとって特別な場所です。窓の鍵が開かないよう注意して、安心してくつろげる場所を作ってあげましょう」
●壁クロス見切り
猫にとって欠かせない行動が“爪とぎ”。爪とぎ専用グッズを用意しても、壁や家具をガリガリしてしまうことは珍しくありません。
ヘーベルメゾンの『壁クロス見切り』のように、あらかじめ壁クロスを上下で貼り分けることで、傷や汚れがついても見切りの下だけ貼り替えれば済むので、経済的にも安心です。
●半屋外空間
ヘーベルハウスの戸建て住宅で、猫の飼い主さんに好評なのが、2階リビングと緩やかにつながった半屋外空間の『そらのま』。猫は散歩に連れて行けないので、“たまには外のにおいや風を感じさせてあげたい”という飼い主さんが多いそう。
ここで紹介した空間づくりは、賃貸の方でも取り入れられるものがたくさんあります。愛猫が健康で快適に暮らせるよう、できることから始めてみてくださいね。
●シニア猫が穏やかに暮らせる優しい環境づくり
猫の室内飼いが当たり前になった今、その寿命も年々延びていて、最近は20歳近くまで生きる猫も少なくありません。シニア期に入ると、日常生活でできないことも増えてきますが、飼い主さんが気付いてあげることで、猫の負担を軽減できることもたくさんあります。
「ペット共生型賃貸住宅の入居者様向けに、昨年初めてペットの老後をテーマとしたセミナーを開催しました。猫は昔から”ピンピンコロリ”と言われるように、ほとんど介護がいらない生き物。その分、急に具合が悪くなってお別れするパターンも多いので、知識があれば不調の早期発見につながりますよという注意喚起や、シニア猫に合わせたお部屋づくりなどについてもお話しさせていただきました」
まず、見直したいのが猫のトイレ環境。シニアになると、トイレの縁をまたげなくなったり、またぐことの負担が大きいとトイレ自体を避けるようになってしまいます。
「猫は神経質なので、年を取ってからトイレを替えると警戒して使わない可能性も。対策としては、中年期から縁が低いタイプも併用したり、スロープを設置するなど、早いうちから慣らしておくと切り替えがスムーズです」
また、シニア期になると、あれほど好きだったキャットタワーに登ることさえ難しくなって、筋力が衰えるだけでなく、元気もなくなってしまいます。
「いくつになっても、猫は高い場所にいると安心します。キャットタワーにテーブルを増設したり、家具の配置を工夫してなだらかに登れる安全な場所を作ってあげると、猫ちゃんの心も満たされるでしょう」
獣医師の立場からも、愛猫と長く快適に暮らすには、若い頃からシニア期を視野に入れた環境づくりが大切と話す佐々木さん。
猫が本能のまま、のびのびと暮らす姿を見るのは、飼い主さんにとっても幸せなこと。生涯の大半を家の中で過ごす猫のために、ライフステージに合わせた暮らしやすい環境を整えてあげたいですね。
●お話を伺った方
旭化成ホームズ LONGLIFE 研究所長 河合慎一郎さん
旭化成不動産レジデンス プロパティマネジメント推進室・獣医師 佐々木亜子さん
ヘーベルハウス PET ライフスタイル
https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/lineup/lifestyle/pet-life/index.html/
ペット共生型賃貸住宅「ヘーベルメゾン +わん+にゃん」入居募集サイト
https://www.afr-web.co.jp/hebel-rooms/feature/petkyousei.html/
文=田辺千菊(Choki!)
写真提供=旭化成ホームズ(HEBEL HAUS)
撮影=今井知佑
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