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上野動物園で暮らす双子パンダが2歳で離ればなれに。シャオシャオのトレードマーク「緑のライン」は!?

CREA WEB / 2024年4月13日 11時0分


仲良しのレイレイ(左)とシャオシャオ。2歳の誕生日の2023年6月23日(筆者撮影、以下同)

 上野動物園で初めて生まれた双子のジャイアントパンダ、オスのシャオシャオ(暁暁)とメスのレイレイ(蕾蕾)が離ればなれになります。双子が一緒の様子を観覧できるのは4月14日(日)まで。休園日の4月15日(月)を挟み、4月16日(火)から別々のエリアでの公開となる予定です。

 双子を別々に飼育するのは、成長して体が大きくなるにつれ、じゃれ合いが激しくなったため。特にレイレイがシャオシャオを嫌がるそぶりをよくするようになりました。双子は仲良しですが、このまま同居を続けると、けがをする恐れがあると上野動物園は判断しました。

 双子は2021年6月23日に誕生。母親のシンシン(真真)が出産直後から双子を一緒に抱いて、双子がシンシンの体で隠れたので、シャオシャオとレイレイのどちらが先に生まれたかは分かっていません。


じゃれ合うシャオシャオとレイレイ。2024年3月27日(水)撮影。

 双子はシンシンと一緒に暮らしていましたが、2023年3月19日の夕方、親離れしました。パンダは群れをつくらず、単独で生きる動物。縄張り意識が出てくると、相手が肉親でも攻撃することがあるため、飼育下ではそうなる前に別居させます。野生のパンダの子どもは一般的に1歳半から2歳にさしかかる時期に親離れするとされます。

 親離れをしても、双子は体格が似ているのでしばらく一緒に暮らすケースが多く、シャオシャオとレイレイも一緒でした。筆者は、親離れの3日後にシャオシャオがレイレイに噛みつくのを観ました。その後も時折り噛みついています。そして3歳になる前に別居となります。3月15日(996日齢)の体重は、シャオシャオが72.6キロ、レイレイが76.3キロです。

 飼育係は、安全な成分でできたインクを使って、シャオシャオの体に緑色のラインを描いてきました。夜間の録画や監視カメラの映像で双子を明確に識別するためです。緑のラインは、シャオシャオのトレードマークのようになっていて、園内で販売しているぬいぐるみなどのグッズにも入っています。

 1頭で暮らすようになれば、緑のラインはどうなるのでしょう。上野動物園の副園長兼教育普及課長の冨田恭正さんに尋ねたところ、「完全に区別できるので、もうこれ以上、描くことはない予定です。水浴びなどをすると落ちやすいので、それらの加減によって異なりますが、1カ月くらいで消えてしまうのでは」とのことです。


シャオシャオの緑のライン。下にいるのはレイレイ。2024年3月27日(水)撮影。

中国生まれとシンガポール生まれの3頭が同居

 双子のパンダが別居となる時期はまちまちです。例えば、和歌山県にあるアドベンチャーワールドで生まれ育った5組の双子のうち、隆浜・秋浜は2003年9月8日に生まれ、2007年10月に4歳で中国・四川省の成都へ行っても一緒にいました(その後ケンカが激しくなって別居)。梅浜・永浜は中国へ行くまで一緒。愛浜・明浜は1,530日齢、海浜・陽浜は1,294日齢、桜浜・桃浜は1,263日齢で別居しました。現在、この5組10頭の双子は中国で暮らしています。

 一方、四川省の都江堰では今年、シャオシャオ・レイレイと同じ2歳のオス・メスの双子(2021年9月12日生まれ)が、別れるどころか他の1頭と一緒に3頭で暮らし始めました。その1頭とは、シンガポールで生まれ、1月に中国へ渡ったオスのラーラー(叻叻、2021年8月14日生まれ)です(『シンガポールで初めて生まれたパンダ 上野のシャオシャオ&レイレイと同じ2歳という早さで来年中国へ』)。

パンダたちの公開エリアが変わる


パンダの屋外放飼場と室内の部屋の位置。2021年6月23日撮影。

 上野動物園では双子の別居に伴い、4月16日(火)からパンダたちの公開エリアが変わります。

 具体的には、双子が現在の「屋外放飼場D+室内2~3号室」から「屋外放飼場B+室内1号室」と「屋外放飼場D+室内3号室」へ。父親のリーリー(力力)が現在の「屋外放飼場C+室内1号室」から「屋外放飼場C+室内2号室」へ変更となります。


リーリーが使っている「屋外放飼場C」。左の洞窟の上にいるのがリーリー。2024年3月27日(水)撮影。

 シンシンの公開エリアは、現在の「屋外放飼場B」から「屋外放飼場A」に変更。隣の「屋外放飼場B」に子ども(双子のどちらか)が来ることになります。この2つの放飼場の仕切りは透明なので、互いの姿が見える可能性があります。

 パンダは前述の通り、単独で生きる動物。子どもがシンシンを見た場合、もし母親だと覚えていて、関心を示したら、独立に差しさわりがあるかもしれないと上野動物園の職員は考えました。そのため今後、目隠しの工事をします。工事の間、シンシンは公開をお休みします。


「屋外放飼場B」で竹を食べるシンシン。2024年3月27日(水)撮影。


中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo


パンダワールド We love PANDA

定価 1,650円(税込)
大和書房

文・写真=中川美帆

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