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美容院の「5分遅れます」の連絡、電話したほうがいい? しなくていい?〈美容師の働き方と本音〉

CREA WEB / 2024年4月21日 11時0分

 今回は、美容室とお客様の遅刻にまつわるお話です。

 美容室に限らずとも、事前予約したレストランや映画、取引先との待ち合わせ等に遅れてしまい、時間に間に合わないことはよくあると思います。

 美容師にとって、お客様が時間通りにいらっしゃらないことは、日常茶飯事です。すぐに来られるのか、来店にあと15分かかってしまうのか。それによって美容師の対応は大きく変わるため、こちらはドギマギして待っています。そのため、大前提として、「少しの遅刻」でもお電話でご連絡いただけることはありがたいことです。

 ですが、もう一歩踏み込んでお話しすると、ご連絡によっては、美容師が困ってしまう場面もあります。

 それって、どういうこと?

「5分遅れます」はかえって迷惑になる可能性がある!?


©AFLO

 お客様から遅刻の旨のお電話を頂けることは大変ありがたいことです。ですが、例えば「5分遅れる」という旨のお電話は美容師からすると、かえって迷惑になる可能性があります。

 お電話くださったお客様からすれば、こちらの事情を考慮しお電話くださっているので、ありがたいことなのですが、良かれと思った行動が、結果として逆効果になってしまうかもしれません。

 理由は、現場の美容師に「電話に出る」という仕事が増えるからです。

その電話は、美容師が「手を止めて」受けているかも

「遅刻してしまったから、連絡しなくては!」と美容室に急いでかけた電話は、当然ですが、美容師が受けることになります。しかし、受け手となる美容師は、今まさに「接客中」である可能性が高い。つまり、作業の「手を止めて」電話に出ているかもしれません。

 特に土日祝日の場合、美容室の予約は埋まっていることが多くなります。現場の美容師は、急ぎのお客様の施術中かもしれないし、薬剤を塗っている最中かもしれません。

 もし薬剤を塗布している最中に手を止めることになれば、電話のやりとりをしている時間が「すでに塗った部分」の薬の効き具合に影響することもあります(プロですので、そうなった場合はうまく施術を調整しますが)。

 こういった事情で、接客中の美容師にとって「電話に出る」ことは後回しにしたい作業なのです。

 しかし、電話を取るために手を止めることになってでもお電話をいただきたい場合もあります。それはどのようなケースでしょうか。

こういう場合は連絡して!

「5分遅れます」のご連絡は、ご来店になる上では小さな誤差なので、ほとんどの場合必要ありません。多くの美容師にとって仕事に影響が出るのは、「15分以上」遅れる場合です。

 お客様の「15分以上遅れる事態」のお電話は、現場を円滑に回す上で重要な情報です。状況によって「現在接客中のお客様」や「後に続く予約のお客様」に影響してくるため、その際にはご連絡をいただければ大変ありがたいです。

 そして、美容師側からすると、お客様から「少し遅れます」のご連絡があったものの、しばらくしても来ない、ということも少なくありません。これは言わずもがな、人それぞれ「時間の感覚」が異なるからです。お客様にとっての「少し」が「5分」なのか「15分」なのかは、計りかねます。

 そのため、遅刻のご連絡はなるべく「具体的なお時間」をお伝えいただければありがたいです。

なぜ「15分」なのか?

 これについて、「5分と15分、そんなに違いがあるの?」と感じた方も多いはずです。しかし、ほとんどの施術で「10分以内」の遅れであれば作業をリカバーできるのですが、「15分以上」遅れると修正が利かなくなってしまうのです。


©AFLO

 美容師が行う様々な施術は、15分を目安にした作業が多いです。

 例えば、ヘアカラーをする際の…

カラーのリタッチを塗る

カラーを放置する(薬を効かせる)

カラー後のシャンプー

ドライヤーで乾かす

 各工程は、全て15〜20分目安で行っています。そのため、どの美容室でもカラーのメニューは「1時間半」を見込んでいます。

「髪の長さや毛量」によって所要時間は前後しますが、手早くこなしても、各工程の時間はほとんど短縮することができません。そのため「15分遅れて来店される」とスケジュールがズレてしまい、スタッフの手が足りなくなることに直結するのです。

 こういった事情で、美容師は、お客様が15分以上遅刻して来た場合には「時間がないので、予定していたメニューはできません」とハッキリお断りすることもあります。

「受付担当の人がいるんじゃないの?」

 そもそも、前出の「美容師が電話に出ている」という記述に対し、「でも、受付担当の人がいるでしょ?」「見習いのアシスタントが対応してくれるはずだから」と考えた方もいるかもしれません。

 実は、昔と違い、現代の美容室ではレセプション(受付)担当がいない美容室の方が大多数です。更に、少子化に伴って美容師の成り手が少なくなり、今やアシスタントが貴重な存在となっていることから、「アシスタントが在籍していない美容室」もとても多いのです。

 電話予約が主流だった頃は、電話番は「美容室の売上」に直結する重要な仕事でした。かかってきた電話を取り逃がすと、失客する(お客様がそれ以降来店しなくなってしまう)可能性が高まるため、当時は「2〜3コール以内に受話器を取る」ことが厳しく指導されているほど、電話を受ける作業は重要視されていました。

 そのため、美容師(特にスタイリスト)と電話番とを分業するための「レセプション」を設ける美容室が多く、用意しない美容室であっても、アシスタントが「主たる仕事」として電話番をこなしていたのです。

 ですが、時代の変容によって「ネット予約」が主流になると、電話予約は激減。そんな中でレセプションを設けると、別途かかる人件費が回収できないため、美容師自身が電話を受ける美容室が増えたのです。

ご連絡いただけるのはありがたいこと

 冒頭では、「かえって迷惑」とあえて強い言葉で使ったものの、ご連絡をいただけるのといただけないのとでは、ご連絡をいただける方が美容師としてははるかにありがたいです。また、言うまでもなく、「キャンセル」の連絡は、たとえ施術の直前の時間になってしまったとしても、必ず入れましょう。

 ふだん生活している中では知ることの少ない「美容室の事情」を、少しでもご理解いただければ幸いです。

文=操作イトウ

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