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サルはなぜB型肝炎ウイルスに感染しないのか

Digital PR Platform / 2024年12月3日 10時0分

 今回、胆汁酸と結合したmNTCPのクライオ電子顕微鏡構造を解明しました。最近、本研究チームが明らかにしたhNTCP-preS1複合体の構造 (※1)と比較することにより、mNTCPがHBV受容体として機能しない理由を明らかにしました。

※1: 東京理科大学プレスリリース(2024年1月18日付)
「B型肝炎ウイルスが感染受容体に結合するしくみを解明」
https://www.tus.ac.jp/today/archive/20240118_2358.html

研究結果の詳細
 クライオ電子顕微鏡構造、遺伝子変異導入、ウイルス感染、胆汁酸輸送、分子動力学(MD)シミュレーションなどを用いた各種解析を行い、mNTCPとhNTCPの構造を比較した結果、preS1との結合において、NTCP分子内の主に2つの部位がHBV受容体として機能するかどうかを決定していることがわかりました(図)。
 1つ目は、NTCPの胆汁酸トンネル入口に位置する158番目のアミノ酸が、hNTCPではグリシン(G158)、mNTCPではアルギニン(R158)である点です。側鎖がないグリシンによって胆汁酸トンネル入口が広いhNTCPにはpreS1がぴったりはまり込むのに対し、アルギニンの大きな側鎖によって胆汁酸トンネル入口が狭いmNTCPには、アルギニン側鎖との衝突でpreS1がはまり込めないことが明らかになりました。また、グリシン以外のすべてのアミノ酸ではアルギニンと同様、preS1との結合を形成できないことも示されました。158番目のアミノ酸の位置は胆汁酸結合部位からは遠く、胆汁酸取り込み機能には関係しないこともわかり、この部位のアミノ酸変異は胆汁酸取り込み機能に変化なく、HBV受容体機能を特異的に変換させることが示唆されました。

 2つ目は、NTCPの細胞外表面に位置する86番目のアミノ酸が、hNTCPではリシン(K86)、mNTCPではアスパラギン(N86)である点です。hNTCPのリシンの長い側鎖はpreS1をNTCP細胞外表面に強固につなぎ止め、安定な結合を形成しますが、側鎖が比較的短いアスパラギンでは、preS1の動的な揺らぎを抑える力が低く、preS1結合が不安定になると考えられます。

 またさらに、hNTCPへのpreS1結合も胆汁酸存在下では阻害されますが、これはhNTCPの胆汁酸トンネル内に長鎖胆汁酸が存在すると、その尾部の長鎖が引き起こす立体障害によって、preS1がhNTCPにはまり込めないためであることがわかりました。

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