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加齢卵子への不妊治療法開発に期待

Digital PR Platform / 2024年12月25日 14時0分

加齢卵子への不妊治療法開発に期待

―35歳以降の妊よう性低下には卵子透明帯の構造変化が関与―


発表のポイント

女性の生殖適齢期後半(35歳ごろ)に相当する雌マウスは、卵子の遺伝子発現によらず卵子透明帯の網目構造が変化することにより受精率が低下することを発見しました。
透過型・走査型電子顕微鏡を用いて卵子を観察することで、加齢が卵胞形成時の卵子―卵丘細胞の相互作用の低下や卵子透明帯の微細構造の変化を導くことを見いだしました。また、それらの変化を機械学習によって客観的に判別できるようにしました。
還元型グルタチオンの添加で体外受精率の改善が認められたことから、今後、妊よう性が低下し始める生殖適齢期後半の女性の卵子に対して、新たな不妊治療法の開発が期待されます。




[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/101592/450_434_20241224153944676a5730979b8.png


加齢は卵子―卵丘細胞の相互作用の低下と卵子透明帯の構造を変化させ、受精率を低下させる


概要
 東京大学医科学研究所生殖システム研究分野の山内(石川)祐 特別研究員(研究当時、現:横浜市立大学大学院医学研究科 臓器再生医学 助教)、大阪大学微生物病研究所の伊川正人教授(兼: 東京大学医科学研究所 特任教授)らによる研究グループは、女性の35〜40歳に相当する加齢マウスを用いて、加齢による卵子の変化が妊よう性(注1)に及ぼす影響を解析しました。その結果、加齢によって卵巣内の成熟卵胞内(注2)では卵子の支持細胞である卵丘細胞(注3)と卵子の相互作用が減弱し、卵子の質が低下していることがわかりました。また、卵子透明帯(注4)の特徴である表面の網目構造が加齢によって平滑構造(凹凸や細孔がなく滑らかな構造)へと変化することにより、受精過程に必須な精子の透明帯通過を妨げて受精率(注5)の低下に寄与していることも明らかにしました。加えて、加齢卵子の受精率は還元型グルタチオン(注6)を体外受精培地に添加することで改善されました。本研究成果により、加齢卵子の受精率低下に対する新たな治療法開発が期待されます。
本研究成果は2024年12月24日、国際科学誌「Communications Biology」に掲載されました。

発表内容
 身体的な加齢は、女性の妊よう性を低下させる主要因だと考えられています。ヒトでは特に35歳を超えると妊よう性が顕著に低下することがわかっているが、その詳細な原因については未だ不明です。
 これまでの先行研究では、加齢が染色体異常、ミトコンドリアの機能異常、遺伝子発現量の変化などを引き起こし、卵子の質的変化を生じさせることが報告されています。しかし、多くの加齢研究ではヒトの40〜60歳頃に相当する1年齢以降のマウスを使用しているため、妊よう性が低下し始める原因については明らかにされていませんでした。この度、本研究チームは、ヒトの20〜25歳ごろに相当する10〜12週齢若齢マウスと、ヒトの35〜40歳に相当する34〜38週齢加齢マウスの卵子を比較し、加齢に伴う卵子の形態変化が受精能の低下を引き起こすメカニズムを解析しました。

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