東京医科大学・熊本大学の共同研究チーム「サイトカインストームを回避する新たなCAR-T細胞療法 補助刺激受容体2B4を用いたCARの基盤研究」 〜新たな免疫チェックポイント療法やCAR-T細胞療法への応用に期待〜
Digital PR Platform / 2024年12月26日 20時5分
東京医科大学免疫学分野 横須賀忠主任教授、熊本大学大学院医学教育部博士課程 松島遼平大学院生(当時)、熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器外科・乳腺外科学 鈴木実教授を中心とする研究チームは、T細胞補助刺激受容体*¹である2B4(CD244、SLAMF4)の超解像イメージングを通して、2B4シグナル伝達のスイッチング機構によるTリンパ球(T細胞)調節機構を明らかにし、その特徴を応用した炎症性サイトカインの産生を抑えたキメラ抗原受容体(CAR)の基盤モデルを確立しました。この成果によって、2B4の機能を応用したCAR-T細胞療法や、新たな免疫チェックポイント阻害抗体の開発に期待が持たれます。
【概要】
東京医科大学(学長:宮澤啓介/東京都新宿区)免疫学分野 横須賀忠主任教授、熊本大学大学院医学教育部博士課程 松島遼平大学院生(当時)、熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器外科・乳腺外科学 鈴木実教授を中心とする研究チームは、T細胞補助刺激受容体*¹である2B4(CD244、SLAMF4)の超解像イメージングを通して、2B4シグナル伝達のスイッチング機構によるTリンパ球(T細胞)調節機構を明らかにし、その特徴を応用した炎症性サイトカインの産生を抑えたキメラ抗原受容体(CAR)の基盤モデルを確立しました。この研究は日本学術振興会科学研究費補助金等の支援の下で行われ、研究成果は米国Cell Press社の国際科学誌iScienceのオンライン版に2024年12月21日付けで掲載されました。この成果によって、2B4の機能を応用したCAR-T細胞療法や、新たな免疫チェックポイント阻害抗体の開発に期待が持たれます。
【本研究のポイント】
●T細胞上の補助刺激受容体2B4は、リガンドであるCD48に結合した後に数十個が凝集し、シグナルユニット「2B4マイクロクラスター」を形成しました。
●2B4は、アダプター分子SAPの量が少ないとT細胞のサイトカイン産生を抑制し、多いと亢進させる『スイッチ機構』を持っていることが、超解像イメージング解析によって明らかになりました。
●2B4を入れてデザインしたCAR-T細胞が、低サイトカイン産生を維持しながら、他のCAR-T細胞と同等の抗腫瘍効果を示す結果が、担がんマウスモデルの実験から示されました。
【研究の背景】
がん免疫療法において、免疫チェックポイント分子阻害(ICI)療法に続く、第2のブレイクスルーとして、「キメラ抗原受容体(CAR)導入T細胞療法」が近年、大きな注目を浴びています。CAR-T細胞療法は、これまでがん免疫療法として長く行われてきた「養子免疫療法」の1つで、患者から採取したT細胞に、がん抗原を認識する抗体とT細胞受容体を部分的につなぎ合わせた人工の受容体CAR(chimeric antigen receptor)を遺伝子導入して体に戻すことで、劇的な効果が得られる治療法です。日本でも、チサゲンレクルユーセル(キムリア®)やチサゲンレクルユーセル(イエスカルタ®)が知られています。オーダーメイド治療のため非常に高額で、日本国内でも限られた施設でしか行うことができませんが、通常の癌治療では治らなかった悪性リンパ腫や白血病の一部の症例で確かな治療効果が認められています。また最近は悪性黒色腫などの固形腫瘍に対する適応も検討され始めており、新たな腫瘍をターゲットにしたCAR-T細胞の開発が年々加速しています。一方、重大な事象として、CAR-T細胞による脳炎や、活性化したCAR-T細胞が放出する過剰な炎症性サイトカインが引き起こす「サイトカイン症候群」が知られています。サイトカイン症候群は、新型コロナウイルス感染症の重症化とも大きく関連していました。CAR-T細胞療法でも新型コロナウイルス感染症でも、一度起こしたサイトカイン症候群の治療には、抗IL-6受容体抗体(Tocilizumab、アクテムラ®)を用いた対症療法しかありませんでした。
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