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筋肉および骨の維持には、糖質とタンパク質の適切な摂取が不可欠なことを明らかに

Digital PR Platform / 2025年2月3日 10時18分

筋肉および骨の維持には、糖質とタンパク質の適切な摂取が不可欠なことを明らかに

低栄養状態は筋量や筋力、骨密度の低下を伴うことが多いですが、詳細なメカニズムは不明です。藤田医科大学臨床栄養学講座 飯塚勝美教授らの研究グループは、糖や脂肪の代謝が筋肉にどのような影響を与えるかを調べるために、脂肪を作る遺伝子のスイッチを入れる役割を持つグルコース活性化転写因子(Carbohydrate response element binding protein:ChREBP)*1を欠失させたマウスに低タンパク質食を摂取させたところ、筋力や筋量の低下、骨密度の低下が促進されることを明らかにしました。この現象は、絶食時に少しの糖質を摂取すると、筋肉の減少が軽減されることとも一致しており、ChREBPが筋肉量や骨密度の維持にも重要な役割をしている可能性が示唆されました。本研究成果は、学術ジャーナル「Nutrients」(17巻3号)で発表され、併せてオンライン版が2025年01月29日に公開されました(Nutrients. 2025, 17(3), 488.)。
論文URL : https://www.mdpi.com/2072-6643/17/3/488


<研究成果のポイント>

Chrebp欠失にタンパク質制限が加わると、体重及び精巣周囲脂肪重量は減少した。
Chrebp欠失にタンパク質制限が加わると、前脛骨筋重量と四肢の握力は減少した。その機序として、IGF-1 mRNAの減少とMyostatin mRNAの増加によるものと思われた。
対照的に、Chrebp欠失のみでは骨密度(BMD)、しなやかさ、海綿骨BV/TV、海綿骨数が増加した一方、Chrebp欠失にタンパク質制限が加わると、BMD、骨硬度、海綿骨BV/TV、および海綿骨数が減少した。
骨形成パラメータに対するタンパク制限の効果は野生型マウス(WT)で観察されたが、破骨細胞面、破骨細胞数、浸食面などの骨吸収マーカーのレベルには群間で差はなかった。



<背 景>
低タンパク質食は筋萎縮および骨密度の低下につながるといわれていますが、その詳しい仕組みはまだよくわかっていません。一方、絶食下で糖質を少量でも摂ることで筋萎縮を低下させることが知られています。さらに、低糖質食も筋萎縮および骨密度の低下につながるとされますが、詳細は不明です。
私たちは20年にわたり、グルコース活性化転写因子(Carbohydrate response element binding protein:ChREBP)の研究を行ってきました。グルコース活性化転写因子の役割は、脂肪酸合成、解糖系、糖新生系など糖質および脂質代謝を調節することです。ChREBPの発現は肝臓、脂肪組織、小腸だけでなく、膵β細胞、副腎、筋組織、マクロファージなどで、まだ同定されていない未解明の機能があると考えられます。
ChREBPは糖質および脂質代謝を調節するので、筋肉組織のエネルギー代謝にも影響を与え、筋力の低下につながると予想されます。また、筋力の低下は骨密度の低下とも関係するため、タンパク制限を併用することで筋力低下だけでなく骨密度の低下にもつながると仮説を立てました。

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