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世界初、土壌中における微生物の長期生存をコントロール ~土壌中からの温室効果ガス排出削減に資する基盤技術を確立~

Digital PR Platform / 2025年2月4日 19時3分




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図1. 地球上における二酸化炭素循環









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図2. 土壌中の微生物による窒素化合物の変換の概要

土壌中の微生物により、アンモニア態窒素から硝酸態窒素、硝酸態窒素から窒素、亜酸化窒素(N2O)から窒素への変換が行われる。

3.技術のポイントと実験概要
①土壌中における大腸菌の生存性を測定する手法
 土壌中において、微生物の長期的な生存性に関わる遺伝子の情報はほとんどありません。そこで、遺伝子の解析が最も進んでおり、各遺伝子の機能に関する知見が蓄積されているモデル微生物である大腸菌を用いました。
 まず、大腸菌を用いた土壌中での長期生存性を評価するための測定手法の確立を行いました。大腸菌の細胞約2,000万個を1gの土と混合し、25℃、湿度60%に保つ恒温恒湿器に設置しました。土壌中の生存細胞数を測定する一般的な方法は、PCR法*5を用いてゲノムDNAの量を定量化することです。しかし、この方法では生きている細胞と死んでいる細胞を区別できません。そのため、本研究では、寒天プレート*6上で生きている細胞が形成するコロニー*7を数えることで、真に生存している細胞数を恒温恒湿器に設置後、0日、3日、7日、21日、および42日に測定しました(図3A)。
 その結果、0日目の生存を100%とすると、7.4%(3日目)、4.3%(7日目)、1.1%(21日目)、および0.27%(42日目)であることが分かりました(図3B)。


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図3. 土壌中における大腸菌の生存率を測定する実験系(A)と、
土壌中における大腸菌野生株の生存率の遷移(B)

②土壌中の微生物の生存性に関与する新規遺伝子の特定
 次に、確立した生存性を測定する手法を用い、大腸菌における土壌中の生存性に関わる遺伝子の特定を試みました。この特定において、大腸菌が有する全約300個の転写因子に着目しました。ゲノム上にある遺伝子の発現*8は、これら転写因子によって調節されるため、ゲノム上にある全ての遺伝子(大腸菌の場合約4,400個)を解析することなく目的を達成できると考えました。また、転写因子は環境変化に応じて働き、役割に応じて複数の遺伝子を制御するネットワークを形成しています。そのため、土壌中の長期生存のために微生物が感知するシグナル因子*9を解明するため、また、長期生存するための遺伝子機能を網羅的に明らかにするためにも有効な手段と考えました。
 各転写因子と土壌中の生存性の関係は、各転写因子遺伝子が欠損している大腸菌を用いて調査しました。これらの生存性を野生株と比較することで、欠損した株で生存性が向上すればその転写因子は生存性に対して負に、逆に生存性が低下すれば正に機能していると言えます。全294個の欠損株を解析した結果、転写因子を欠損させることで生存性が向上した株を4株、逆に低下した株を10株特定することに成功しました。このうちRpoSについては、以前の研究において、土壌中の長期生存性に影響を与える転写制御因子として唯一同定されていました。つまり、その他の13個の遺伝子については、土壌中での長期生存性に関与することが初めて明らかになりました。 

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