1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

【日本大学】不規則な生活により太るメカニズムを解明しました ~「体内時計の乱れによる肥満形成の分子メカニズムを解明」~

Digital PR Platform / 2025年2月4日 14時5分

【日本大学】不規則な生活により太るメカニズムを解明しました ~「体内時計の乱れによる肥満形成の分子メカニズムを解明」~



日本大学薬学部の榛葉繁紀教授を中心とする研究グループは、夜型生活やシフトワークなどの不規則な生活が肥満を誘導するメカニズムを解明しました。マウスを使った実験で、体内時計システムの機能低下により、インスリンの感受性を強めるホルモン(FGF21)量が増加し、その結果、脂肪細胞の肥大化が起こることを突き止めました。研究成果は、今まで疫学的、そして経験的に知られていた不規則な生活と肥満との関係を分子レベルで明らかにしたものであり、「規則正しい生活の励行」に科学的エビデンスを与えるものです。以上の研究内容は、ネイチャー誌の姉妹誌である「npj Biological Timing and Sleep」に掲載されました。




【研究の背景】
 肥満及びその関連疾患を呈する原因は多種多様であり、脂肪性⾷品からのエネルギー過剰摂取、交通⼿段の発達による運動不⾜、過度のストレスなどが挙げられています。興味深いことに夜型⽣活やシフトワークなどの不規則な⽣活と肥満関連疾患(特に虚⾎性⼼疾患)との関係が⽰されています。体内においてエネルギーの消費をはじめとほとんどの⽣理機能は1⽇を通じて⼀定ではなく、⽇内変動を⽰します。そして、この⽇内変動は体内時計によってコントロールされています。不規則な⽣活はこの体内時計を乱し、その結果、肥満及び関連疾患発症を誘発すると予想されますが、その実態は全く不明でした。
 そこで我々は、脂肪細胞(体の中の"脂肪"と呼ばれる部分の組織を構成する主な細胞)の中で体内時計が働かなくなったマウスを作製して、体内時計の機能低下が肥満を誘発しているのか︖そして誘発するとすれば、どのようなメカニズムなのかを解析しました。



【主な結果】
 以下の説明⽂・図の中でAAKO マウスとは脂肪組織特異的に体内時計機能が低下しているマウスです。 Arntlflox/floxマウスはコントロールマウスであり、体内時計の機能は正常です。グラフ中の*は統計的に有意に異なることを意味しています。

1. 体内時計の機能低下により脂肪細胞の肥⼤化が起こる
 下の図(図1)は正常マウス(Arntlflox/flox)と脂肪細胞において、体内時計機能が低下しているマウス(AAKO)の脂肪細胞の写真です。AAKOマウスの脂肪細胞が肥⼤化していることがわかります。



2. 体内時計の機能低下により脂肪細胞におけるインスリンの感受性が増加する
 脂肪細胞は、膵臓から分泌されるインスリンの働きにより⾎液からグルコースを取り込み、細胞内で脂肪に変換(代謝)して蓄積します。すなわち、インスリン量やインスリンの効き⽅が良いとより脂肪を溜めこみ、細胞が肥⼤化します。予備的検討によりAAKO マウスとArntlflox/flox マウスの間でインスリン量に違いがないことを確認しています。そこでインスリン感受性(効き⽅の強度)を解析しました。
下図(図2左)
 インスリンを投与してからの⾎糖値の変化を時間ごとに追ったものです。インスリンを投与することで⾎糖値は下がっていきます。AAKOマウスの⾎糖値は、Arntlflox/floxマウスよりも速く⾎糖値が低下していきます。またArntlflox/floxマウスでは、投与120分後には⾎糖値は回復し始めていますが、AAKOマウスではそのような上昇は⾒られません。この結果は、AAKOマウスの⽅が、インスリン感受性が⾼い(インスリンの効きが良い)ことを⽰しています。
下図(図2右)
 インスリンあるいはインスリンを溶かすための溶媒(PBS)を投与したマウスの脂肪組織における2-デオキシグルコース(2-DG)の取り込み量です。インスリンの投与により両⽅のマウスともに2-DGの取り込み量は増加しましたが、その程度はAAKOマウスの⽅が約2倍⾼い値を⽰しました。これは左図と同様にAAKOマウスの⽅が、インスリン感受性が⾼いことを⽰しています。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください