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世界初!光で物質構造を原子レベルで制御する方法を発見 ! --高知工科大学、金沢工業大学、大阪公立大学

Digital PR Platform / 2023年12月18日 14時5分

【研究内容と成果】
そこで、本研究グループでは、物質表面を超高解像度で観察できる走査型トンネル顕微鏡(※1)を活用して、光誘起相転移に伴う構造の変化を原子レベルで直接検出しようと試みました。実験では、炭素原子から成る黒鉛(グラファイト)が光照射によってダイヤファイト(※2)と呼ばれる秩序構造へ相転移する現象を対象としました。その結果、光を照射した黒鉛上では、始めにわずか2個の炭素原子から成る0.5ナノメートル(※3)程度の核が形成されること、さらに、その核が、周辺へ拡大しながらドメインを形成し、そのサイズが約5ナノメートルに達すると、構造が黒鉛からダイヤファイトへ大きく変化することを明らかにしました(図1)。これら一連の相転移プロセスは、理論的には予測されていましたが、今回、走査型トンネル顕微鏡を用いた原子分解能での構造観察により、世界で初めて検出に成功したものです。

また、上記の相転移プロセスが、当てる光の波長に依存して大きく変化することを発見しました。図2で示すように、短い波長の光を当てると、黒鉛上のいたるところで核が効果的に形成されますが、長い波長の光を当てると、核の形成よりも核がドメインへ拡大するプロセスが優先的に生じます。この結果は、光のチューニングにより、相転移の一連のプロセスを原子レベルで制御できること示しています。

【今後の展開】
本研究では、光誘起相転移の初期プロセスを直接観察することに成功しました。また、相転移の一連のプロセスは光の波長チューニングにより原子レベルで制御できることを示しました。今後、このような原子スケールでの知見をさらに蓄積していくことで、光で特定の相転移を選択的かつ効率的に引き起こせるようになります。これにより、光誘起相転移を利用した革新的な材料創成法の実現に貢献し、従来の物質科学の枠を超えた新しい材料開発を加速させると、微細加工技術や材料科学の分野での応用が期待できます。

【用語解説】
※1走査型トンネル顕微鏡
極めて鋭い針を使って物質の表面をなぞるようにスキャンしながら観察する顕微鏡。針と表面の間に流れる微弱な電流を測定することで、表面の形状を原子レベルで観察できる。

※2ダイヤファイト
炭素原子から構成されるダイヤモンド様構造。従来の材料プロセスでは形成されず、黒鉛に可視光を当てることによってのみ生じる構造として知られている。"ダイヤファイト"という名前は、この構造が、黒鉛(グラファイト)とダイヤモンドの中間的な性質を持つことに由来する。

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