パスコ超熟「60ミリの子ネズミ混入」対応の成否 誠実ゆえに、消費者に過度の想像をさせた
東洋経済オンライン / 2024年5月24日 18時30分
企業の不祥事対応では、迅速かつ誠実な対応が求められる。情報提供が時機を逸する、もしくは「消費者を軽視している」と思わせてしまうと、一気に企業イメージの低下につながる可能性があるからだ。そして、そうして失った信頼は、なかなか回復できないものでもある。
しかし時には、誠実な対応が、むしろ逆効果となり、消費者に過度な不安を与えてしまう場合もある。昨今話題になっている、敷島製パンの「超熟」異物混入事案は、そうしたケースと思われる。
筆者は10年以上にわたり、ネットメディア編集者として、企業が公式サイト上で発表するプレスリリースを眺めてきた。そうした経験からしても、ここまで真面目さが裏目に出てしまうことは珍しいと感じる。何がネガティブイメージの要因となったかを考えてみよう。
生産したパンに異物が混入
「Pasco(パスコ)」のブランド名で知られる敷島製パン(名古屋市)は2024年5月7日、パスコ東京多摩工場(東京都昭島市)で生産した「超熟山型5枚スライス」に、「異物(小動物らしきものの一部)」が混入していたと発表した。
異物が混入していた商品は回収完了しているものの、同じラインで製造された商品も回収するうえ、原因究明と対策強化のために、当該の製造ラインを当面休止すると発表。なお、その時点で健康被害等の報告はないとした。
【画像】敷島製パンによる謝罪&経緯報告のリリースと、「クマネズミ」のイメージ画像を見る(4枚)
回収対象となったのは、約10万4000個。開封や喫食済みでも問題なく、ウェブ申し込みと着払いにより、商品と包装紙(もしくは包装紙のみ)を受け付け、商品代金の代わりに、後日クオカードを送付するという。
発表を受けて報道各社が伝え、異物の詳細についても、翌8日には「クマネズミと判明した」と報じられた。そして2週間後の5月21日、敷島製パンは「お詫びと経過のご報告」と題して、7日の初報以降の経緯を説明した。
それによると、8日に「有害生物防除の専門事業者による鑑定の結果、異物はクマネズミの子ども(約60mm)であることが判明」した。なお、7日時点で「4月末時点の定期点検ではなかった新たな巣穴が工場外部で確認」されていたという。
また4月末にかけての1年間、専門事業者による定期検査をした結果として、「捕獲・活動の痕跡が見られなかったことから、工場内部で長期的に生息していた可能性は低く、工場外部にできた巣穴を拠点に侵入し、焼成前の生地に混入したものと推定されますが、詳細については継続して調査中です」などと追加で報告した。
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