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内視鏡止血後の食道静脈瘤破裂患者における予防的抗菌薬投与の有効性は確認できず

Digital PR Platform / 2024年1月26日 14時0分


研究内容
 徳洲会メディカルデータベース*1を用い、46施設、13年間のデータから、食道静脈瘤破裂に対して内視鏡止血術を行った980人の患者データを抽出しました。徳洲会メディカルデータベースは診断群分類(Diagnosis Procedure Combination, DPC)データによる患者基礎情報、採血結果・バイタルサインに加え、電子カルテに遡ることで更に詳細なデータが得ることが可能なデータベースです。重篤な患者(例えば、人工呼吸器を使用している患者)や、明らかに抗菌薬投与が必要な感染症が疑われる患者(バイタルサイン・血液培養取得情報に基づく)は、この分析から適切に除外されました。抗菌薬投与が行われた群(予防投与群)と行われなかった群(非予防投与群)に分け、6週間の死亡、4週間の特発性細菌性腹膜炎*2、4週間の再出血と、これらの3つの複合アウトカムを比較しました。この比較のため、患者の共変量に関する欠測値は多重代入法*3を用いて補完され、その後、逆確率重み付け法*4を用いてアウトカムの分析が行われました。その結果、予防投与群の優位性は確認できませんでした(図1)。









今後の展開
 本研究は、欧米の診療ガイドラインにおける予防的抗菌薬投与の推奨について再考を促します。特に、肝硬変治療や内視鏡止血技術の進歩を踏まえた現代の医療環境において、これらのガイドラインの適切性についてはさらなる検証が必要であると考えられます。今後は、ランダム化比較試験を含む、世界各国でのより包括的な研究が期待されます。


論文情報
タイトル: Effectiveness of antibiotic prophylaxis for acute esophageal variceal bleeding in patients with band ligation: A large observational study
著者: Chikamasa Ichita1,2, Sayuri Shimizu2, Tadahiro Goto2,3,4, Uojima Haruki1,5, Naoya Itoh6, Masao Iwagami7, Akiko Sasaki1
掲載雑誌:World Journal of Gastroenterology
DOI:https://dx.doi.org/10.3748/wjg.v30.i3.238

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