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ウェアラブル温熱制御デバイスに流体検知機能を内蔵して小型化を実現

Digital PR Platform / 2024年2月15日 14時5分

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芝浦工業大学(東京都江東区/学長 山田純)大学院理工学研究科桑島悠氏、工学部細矢直基教授、東京工業大学(東京都目黒区/学長 益一哉)工学院機械系前田真吾教授ら研究チームは、軽量、小型でありながら、衣服内に循環させる液体の流量を自己感知して温熱制御を可能にするウェアラブルデバイスを発表しました。
従来のデバイスは、流量を感知する装置が大きく、かさばっていました。研究チームは流量を自己感知するシステムを開発することで、小型化を実現しました。このデバイスの発展は、仮想空間での温度変化のフィードバックを可能にしたり、温熱療法を簡易化したり、ファッション以外にも活用の可能性があります。





--ファッション・医学療法・VR気温フィードバックに活用可能性--

※この研究成果は、「ACS Applied Materials & Interfaces」誌に掲載されています。

■ 研究の背景 ■
レースカーのドライバー、化学療法などにすでに使用されている液体冷却衣服は、衣服に埋め込まれたチューブを利用して、ポンプで冷たいまたは温かい液体を循環させ、体温を変化させます。しかしこのようなデバイスには、かさばり、騒音の大きい装置が必要で、利便性に課題があります。そこで近年、液体中に電荷を注入し、電界を利用して液体を移動させることで送液する電気流体力学(EHD)ポンプがウェアラブル機器として注目されています。EHDポンプは静音で軽量、他のポンプよりも高い流量を確保できます。体にフィットしやすいソフトチューブとEHDポンプを組み合わせることで、小型で静音なウェアラブル温熱制御デバイスを実現できます。しかし、このような柔らかいチューブは、曲げによって液体が閉塞する可能性がありました。

■ 研究の概要 ■
研究チームは、衣服用の新しい小型スマート電気流体ポンプ(PSEP)の開発に成功しました。装置内を循環させている液体の流量モニタリングする自己感知システムにより、これまで必要とされていた機器が不要となったため小型化が可能となりました。そのため、従来のウェアラブル温熱制御デバイスの課題となっていた騒音や大きさ、ファッション性の制限を解決することができました。
このPSEPの重要な技術革新は、EHDポンプにおける流量の自己感知システムです。この自己感知システムは、PSEPの電極間の電流の変化を利用して流量を測定します。何らかの負荷や変動によって流量が変化すると、電極を流れる電流が変化します。この電流の変化を利用して、装置自体の流量を測定することができます。研究チームは実験的にモデルを検証し、その結果が理論計算と一致していることを確認しました。さらに、PSEPは最大3℃の温度調節が可能で、個人の快適性を大幅に向上させることが明らかになりました。
このシステムを使用して、通常のシャツのポケットに収まるコンパクトなPSEPデバイスを製作しました。また、直感的な制御を可能にするスマートフォンインターフェースを備えています。さらに、自己感知によって詰まりを検知してユーザーに通知する機能を搭載し、効率的な運用を可能としました。
将来的には、PSEPの耐久性を向上させるために、自己修復液体や先端材料などの技術をPSEPに適用させていく予定です。

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