【東京薬科大学】トリプルネガティブ乳がんの浸潤・転移機構の一端を解明--トリプルネガティブ乳がんの新たな診断・治療法の開発に期待--
Digital PR Platform / 2024年2月15日 14時5分
【研究成果の詳細】
本研究では、まず、公的データベースのRNA-seqなどの情報をもとに、MAP1BがTNBC患者のがん組織やTNBC細胞株で高発現していることを見出しました。実際にこれらの患者のがん組織や細胞株でMAP1BがmRNA、タンパク質レベルで高発現していることを確認しました(図2)。MAP1Bの発現が多いTNBC患者のグループでは、低いグループと比べて、予後が悪いことも分かりました(図3)。
RNAiやゲノム編集によりMAP1Bの発現を抑制したTNBC細胞では、in vitroやマウスモデルにおいて腫瘍の形成や浸潤活性が有意に低下しました(図4)。このとき、MAP1Bの発現を抑制したTNBC細胞では、浸潤突起の形成、成熟も合わせて低下していました(図5)。
MAP1Bの一部は浸潤突起に局在しており、浸潤突起を構成するタンパク質cortactinやTks5と複合体を形成していました。MAP1BはcortactinやTks5がもつSH3ドメインに直接結合しました。それら複合体の形成は、アクチン繊維や微小管の重合を阻害する薬剤で阻害されたことから、これら細胞骨格依存的であることが示唆されました。
これまでTks5が浸潤突起においてアクチンの構造体と結合することは知られていましたが、本研究で初めて、Tks5が微小管にも結合すること、また、PI(3,4)P2に対する結合活性を欠いたTks5(スプライシングバリアントの一つであるTks5βと相同)が微小管を束化する活性を持つことが示されました。Tks5とMAP1Bの微小管への結合は相互に依存的であることも併せて明らかにしました。
さらに、MAP1Bの発現を抑制したTNBC細胞ではTks5がオートファジー依存的に分解されることも明らかになりました(図6)。
以上の結果から、MAP1Bは、TNBC細胞においてcortactinやTks5との相互作用を介して浸潤突起を正に制御しており、がんの浸潤転移を促進することが示唆されました。
【今後の展望】
予備的な実験結果から、MAP1BやTks5は今回明らかにした浸潤転移のみならず、TNBC細胞の増殖や腫瘍形成能にも関わる結果が得られており、それらの機構についても今後詳細を明らかにしていく予定です。また、これら機構を標的とした薬物スクリーニングを行なっていきます。これにより、難治性TNBCの発症・病態の分子機構の一端が明らかとなり、新たな診断薬・治療薬開発に繋がることが期待されます。
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