オールCMOSの300 GHz帯フェーズドアレイ送信機を開発 -100 Gbps超のデータ速度を達成、6G無線機の実現へ大きく前進-
Digital PR Platform / 2024年2月17日 10時0分
図2. 作成した300 GHz帯送信機ICのチップ写真
[画像3]https://user.pr-automation.jp/simg/2341/83451/600_274_2024021611240865cec74851bc6.jpg
図3. フェーズドアレイ送信機の基板構成
[画像4]https://user.pr-automation.jp/simg/2341/83451/600_204_2024021611244465cec76cdf9be.jpg
図4. フェーズドアレイ送信機の写真(チップ実装部)
開発した送信機の性能評価のために、オンチップアンテナを除いた1系統の送信回路の送信レートを高周波プローブにより測定したところ、16QAM(用語6)変調時に108 Gbps、32QAM(用語7)変調時に95 Gbpsとなり、100 Gbpsを超える送信レートが確認できた。また、50 cmの距離での4系統の送信回路によるアンテナビームパターンは、120°の角度掃引において設計値と非常によく一致し、フェーズドアレイ動作が可能であることが確認できた。
●社会的インパクト
本研究で開発されたテラヘルツ帯フェーズドアレイ送信機はアンテナを含め全てCMOS集積回路で実現している。安価で量産性に優れたCMOSプロセスで300 GHz帯の送信機を世界で初めて実現できたことで、同周波数帯を用いた6G高速無線機の実現に大きく貢献することが期待できる。
●今後の展開
今後は本研究をさらに進め、より多くの送信回路を集積化したより大規模なフェーズドアレイ送信機の開発を目指す。そうした送信機によって、さらに長距離での超高速無線通信が可能となり、300 GHz帯の基地局等への展開を通して、6G高速無線システムの普及に貢献することができる。
<用語解説>
1 テラヘルツ帯:
5Gなどで用いられるミリ波帯より高い、300 GHzから3,000 GHz(3 THz)の周波数帯。テラヘルツ帯を用いる通信規格としてはIEEE802.15.3dが知られている。IEEE802.15.3dでは252-325 GHzの周波数帯を用いるため、252-300 GHzの周波数帯も含めて広義にテラヘルツ帯と呼ばれることが多い。
2 フェーズドアレイ:
複数のアンテナへ位相差をつけた信号を給電する技術。ビームステアリングの実現に利用される。
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