JSTとANRの戦略的国際共同研究プログラム(SICORP) 「日本-フランス国際産学連携共同研究」(エッジAI)研究課題への採択 ~AIを用いた自律的な無線アクセス制御技術の研究開発の加速~
Digital PR Platform / 2024年3月18日 17時6分
3.リスクアバース強化学習を活用したマルチ無線制御技術
NTTとNIIでは、これまでの共同研究により、強化学習の手法の一つであるRisk-Averse Q-learning (RA-QL) *3法を活用した、マルチ無線アクセス技術を開発しました。図2に示すように、RA-QL法では無線回線でのパケットロスにセンシティブに反応し、複数の無線インタフェースを備えた無線通信において自律的にパケットを送信する無線インタフェースを選択し、パケット量を調整することで、最適な通信量で高信頼な通信を実現します。本技術により各基地局・端末の周囲の状況に合わせた送信制御が可能となります。本技術の効果についてシミュレーション評価では、sub6・ミリ波の2つの周波数の無線インタフェースを備えた基地局・端末での伝送において、目標とするパケットロス率に対して、従来の強化学習法を用いた制御に比べ、より低いパケットロス率を実現できることを確認しました*3。また、エッジAIに向けた深層強化学習(Deep Q-Network等)の活用に向け、より低負荷な処理をめざし、Deep Q-Networkを軽量化した無線通信アルゴリズムの検討も進め、難関論文誌に採択されています*4。
[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2341/85041/700_403_2024031809533165f7908bc27e9.JPG
4.各者の役割
・NTT:共同研究における本技術の創出の議論、適用アーキテクチャの検討、実験評価 (主たる共同研究者:鷹取 泰司)
・NII:本技術の基幹アルゴリズムの考案、評価、戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)の課題における日本側代表機関 (研究代表者:金子 めぐみ)
5.今後の展開
今後も、複雑な環境下で多数の端末が通信する状況においても、変化に追随し、高品質な無線通信を提供できるエッジAIを用いた無線制御技術の研究を推進します。また、これらの技術をベースとしながら採択された研究課題をすすめ、エッジAIとしてより実用的な技術の確立をめざします。
【用語解説】
*1 科学技術振興機構報 第1657号 戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)「日本-フランス国際産学連携共同研究」(エッジAI)における新規課題の決定について
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1657/index.html
*2 LIGHT-SWIFT: LIGHTweight edge artificial intelligence for Sensing and WIreless communications in connected FacTories
*3 T. H. L. Dinh, M. Kaneko, K. Kawamura, T. Moriyama and Y. Takatori, "Improving Reliability by Risk-Averse Reinforcement Learning over Sub6GHz/mmWave Integrated Networks," ICC 2022 - IEEE International Conference on Communications, Seoul, Korea, Republic of, 2022, pp. 3178-3183.
*4 M. Kaneko, T. H. Ly Dinh, K. Kawamura, T. Moriyama and Y. Takatori, "Wireless Multi-Interface Connectivity with Deep Learning-Enabled User Devices: An Energy Efficiency Perspective," in IEEE Network, vol. 37, no. 3, pp. 132-139, May/June 2023.
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