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ブルー・ボンドとオレンジ・ボンド ‐ 債券におけるインパクト投資の最前線

Digital PR Platform / 2024年4月5日 10時0分

一例としては、2024年に誕生した欧州連合(EU)グリーンボンド基準が挙げられます。この新基準は、グリーンボンド市場の透明性、比較可能性、信頼性を向上させることを目指しており、債券市場をEUタクソノミーと平仄を合わせようとしています。しかし、このような基準の厳格化は、発行コストの上昇および発行体の関心低下を助長させ、「グリーニウム(ラベル付き債券であることによる追加的なプレミアム発生)」を復活させる可能性があります。発行体の目線では、このようなプレミアムの発生に伴う投資家需要の拡大が発行体の支払利息の抑制効果に繋がったとしても、それが複雑な債券発行をしてでも取るべき手段かどうかは未知数と言えます。また、投資家の目線では、EUタクソノミーに沿った債券を、わざわざ高い価格で購入することに同意できるのでしょうか。この点もまだ市場のコンセンサスは出ていないと言えます。

ラベル付き債券が投資家に受け入れられるためには、可能な限りの明確性、信頼性、標準性が求められます。その点で、サステナビリティ・リンク債は、資金使途が明確に定義されない種別であり、サステナビリティ目標とその達成に向けた金銭的インセンティブが備わっている点は特徴的と言えますが、発行体が設定するサステナビリティ目標が野心的でないと見なされ、投資家の反発に直面するケースもあります。実際に2023年のサステナビリティ・リンク債の世界における発行額は、2022年対比で14%減少しました。現状では、サステナビリティ・リンク債のアプローチを取ると、サステナビリティ目標の達成が発行体にとって重要でないと受け取られる場合もあり、投資家にあまり受け入れられていないのかもしれません。

どのような金融商品であれ、インパクト投資家は、企業や国が作成するサステナブル・ファイナンスの枠組みや報告書に対して厳しい目を向け続ける必要があります。インパクト投資を実施する運用マネジャーは、発行体に働きかけ、強い付加価値創出と明確なインパクト測定を伴うインパクトのあるプロジェクトの遂行を要求することで、他社との差別化を図り、持続可能な開発目標に貢献することができると考えます。


まとめ

債券市場におけるサステナビリティ、インパクトの発展は、力強い成長と新たな革新的手法の出現を経験しています。全体として、市場の継続的な進化は、投資家がサステナビリティの課題に取り組み、持続可能な開発目標のための資金ギャップを埋めることに貢献する有望な機会を提示しています。

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