肺由来のエクソソーム等の細胞からの分泌物に高い抗炎症作用を発見
Digital PR Platform / 2024年5月7日 14時30分
~ステロイドに代わる天然成分の治療薬として急性肺傷害に効果~
東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター次世代創薬研究部の藤田雄准教授、内科学講座呼吸器内科の門田宰助教、荒屋潤講座担当教授、外科学講座呼吸器外科の大塚崇講座担当教授、東京医科大学医学総合研究所の落谷孝広特任教授らの研究グループは、細菌性肺炎やウイルス性肺炎、敗血症など様々な傷害によって引き起こされる致死的な急性肺傷害(Acute lung injury: ALI)に対し、肺由来の細胞が分泌するエクソソームを含む細胞外小胞(Extracellular vesicles: EVs)が、輸送する炎症や免疫応答に関与するリン脂質結合タンパク質であるアネキシンA1(ANXA1)やマイクロRNAを介したシグナル制御などによって、治療薬となることを発見しました。本研究グループは先行研究にて、ヒト気道上皮細胞(Human bronchial epithelial cell: HBEC)が分泌するEVsが、特発性肺線維症の病態の改善効果があることを発見しており、今回の研究では、同様のHBEC由来EVsが、細胞から分泌される天然成分として高い抗炎症作用を有してALIへの治療効果があることを明らかにしました。
【研究の概要】
l HBEC-EVs は、急性肺傷害を模倣した細胞モデルにおいて有意な免疫調節効果を示しました。
l HBEC-EVsに濃縮された上位10種のマイクロRNAのうち9種が免疫関連経路を制御していることが分かりました。また、これらのマイクロRNAはToll-like receptor(TLR)シグナル伝達経路注5と強く関連していました。
l HBEC-EVsでは、重要な炎症の制御因子であるWNTおよびNF-κBシグナル伝達経路を制御するタンパク質の存在が明らかになりました。
l HBEC-EV内のタンパク質の一つであるANXA1は、FPR2受容体と相互作用し、抗炎症作用をもたらすことが分かりました。
l HBEC-EVsの気管内投与により、肺損傷、炎症細胞浸潤、サイトカインレベルが減少しました。
l これらを総合すると、マイクロRNAとANXA1の移送を介したHBEC-EVsによる免疫調節のメカニズムには、TLR-NF-κBシグナル伝達経路が関与し、ステロイドなどに代わるALIに対する新しい治療薬の可能性が示唆されました。
研究結果概略図(原著論文より)
この記事に関連するニュース
-
東京慈恵会医科大学と桐朋高等学校・桐朋女子高等学校は高大連携に関する協定を締結しました
Digital PR Platform / 2024年5月10日 15時51分
-
腸内乳酸菌による脂肪酸代謝産物が抗炎症作用を示し炎症性腸疾患を緩和することを明らかに ~食用油に由来する成分の効能を遺伝子、細胞、個体レベルで解析~
PR TIMES / 2024年5月7日 11時45分
-
肝臓の炎症を防ぐ特殊なマクロファージを発見
PR TIMES / 2024年4月25日 10時45分
-
「R-1 EPS」がインフルエンザウイルス感染による病原体の侵入を防ぐ肺上皮バリア機能の損傷を抑制
共同通信PRワイヤー / 2024年4月23日 14時0分
-
慈恵医大の「iCBiofilm法」を利用した透明化試薬「iCBiofilm-D」を東京化成工業が発売
Digital PR Platform / 2024年4月23日 12時23分
ランキング
-
1飲むヨーグルトが「乳酸菌バブル」でジリ貧の理由 市場は逆転寸前、かつての人気を取り戻せるか
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 7時20分
-
2東京から新幹線…「新神戸」よりも、一駅先の「西明石」まで買った方がおトク!? JR往復割引「601キロ」のカラクリ
まいどなニュース / 2024年5月19日 8時2分
-
3ラーメン屋経営で地獄見たプロレスラーの気づき 川田利明が向き合う「お客様は神様です」の怖さ
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 12時30分
-
4ローソン、コーヒーなどの「濃さ」選べる仕様に 背景に“客離れ”回避
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月19日 8時0分
-
5広がるタッチ決済乗車は訪日外国人観光客対応か 話題の「二重価格」が鉄道・バスに導入される可能性
NEWSポストセブン / 2024年5月19日 7時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください