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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙環境利用専門委員会の公募事業に採択

Digital PR Platform / 2024年5月14日 14時5分

 
 
【企画している宇宙実験の概要】

2030年にミッションを終了するISSを見据えて,2023年度「きぼう」船内利用フラグシップミッションも締め切られ,宇宙への打ち上げのリソースを民間へと移行していることが現状です。このような背景から民間企業IDDKとともに人工衛星を用いた宇宙実験を計画しています。

IDDKの宇宙バイオ実験プラットフォームの概要図を図3に示します。IDDKは,光学技術と半導体技術の融合により従来の顕微鏡とは全く異なる原理の革新的な顕微観察技術MID(マイクロイメージングデバイス)の開発に成功し,このMIDをコア技術としたオートメーション宇宙バイオ実験装置の開発を進めています。ポストISSプラットフォームが求められる中,国内外にいくつものサンプルリターン可能な小型衛星ペイロードサービスの提供を目指す企業が創設され,IDDKはすでに複数の企業と提携しています。日本初民間主導の小型衛星を利用した地球低軌道での宇宙バイオ実験プラットフォームの構築を目指し,2024年には実証実験,2025年からはサービスを開始する予定です。
 
 
【本研究の宇宙実験を企画・実施する上での優位・独創性】

・材料
① 骨モデルとしてのウロコ
ウロコは,石灰化した骨基質の上に骨芽細胞及び破骨細胞が共存し,さらに骨細胞様の細胞も備わっており,コンパクトな骨モデルです。ウロコを培地に入れて培養するだけなので,軽量化できます。ゼブラフィッシュのウロコは,骨芽細胞と破骨細胞を蛍光標識しているため,IDDKの顕微観察技術により,軌道上での骨芽細胞及び破骨細胞の解析も可能です。

② ウロコの低温での長期間の培養
打ち上げ直後では,打ち上げ時の過重力応答の影響を受け,骨芽細胞が活性化しました。その後,ウロコは微小重力に応答して,骨芽細胞の活性が低下しました。したがって,長期間(少なくとも86時間以上)培養することができれば,軌道上1gを設ける必要はありません。打ち上げる機器類を軽量化できるため,人工衛星により宇宙実験を実現できます。さらに,長期間の培養を行うことができるため,ロケットの発射遅延にも対応できます。

・治療薬
③ メラトニンの宇宙疾患の予防・治療効果
メラトニンには多様な作用があり,宇宙環境でヒトが生活するための優れた予防・治療薬です。国内においても,ノーベルファーマ(株)から小児用の睡眠促進薬(メラトベル)が市販されています。2010年の宇宙実験(Fish Scales)により,短期暴露(86時間暴露)による骨吸収抑制作用および放射線防御作用を確認済です。本研究では,低温による長期培養により,骨基質・骨芽細胞に対する作用,放射線との複合影響に加えて,組み換え体ゼブラフィッシュのウロコを用いて,概日リズムの光応答障害のレスキュー作用を検証します。

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