十分な水分摂取は腸内細菌叢と免疫系の恒常性を維持し腸管感染症に対する防御能を高める--腸内環境の維持に飲水が重要であることを発見--北里大学
Digital PR Platform / 2024年5月21日 14時5分
北里大学、慶應義塾大学の研究グループは、飲水不足が腸内環境を悪化させ、病原細菌の排除能を低下させることを発見しました。本研究は、北里大学薬学部微生物学教室の金倫基教授(研究当時:慶應義塾大学薬学部創薬研究センター教授)、慶應義塾大学先端生命科学研究所/同大学大学院政策・メディア研究科博士課程3年の佐藤謙介、同大学薬学部生化学講座の井上浄訪問教授、同大学医学部薬理学教室の安井正人教授、竹馬真理子准教授による研究成果です。
水は身体の50%以上を占める生体構成要素であり、消化吸収や栄養素・老廃物の運搬、体温調節など、さまざまな役割を担う、生命にとって極めて重要な物質です。水分摂取の不足は代謝性疾患の発症や早期死亡などとの関連性が報告されていましたが、腸内細菌叢※1や免疫系を中心とした腸管への影響については十分に理解されていませんでした。そこで、水分摂取量を制限した際の腸内環境を詳細に解析することにしました。
本研究では、飲水制限により腸内環境の恒常性が破綻し、病原細菌の排除能が低下することが明らかとなりました。飲水制限をしたマウスは、腸内通過時間の遅滞、排便量の低下を伴う便秘症を発症しました。さらに飲水制限により、腸内細菌叢の構成が変化し、腸内細菌の総数が増加しました。一方で、病原細菌に対する防御応答に関わる免疫細胞であるTh17細胞※2が減少し、腸管病原性細菌の排除が遅れることがわかりました。さらに、細胞内に水を取り込むためのタンパク質であるアクアポリン3(Aquaporin 3; AQP3)※3を欠損したマウスの大腸では、Th17細胞の著減が観察されました。以上のことから、十分な水分摂取が腸内細菌叢や免疫系の恒常性、ひいては、腸管病原細菌に対する防御応答を維持するための重要な因子であることが示され、『水』が腸内環境に与える新たな役割が解明されました。
本研究成果は、2024年5月16日に国際学術誌『iScience』にオンライン掲載されました。
■研究成果のポイント
・飲水制限マウスでは、体重増加が抑制され、大腸通過時間の延長や排便量の低下を伴った便秘症が発症する。
・飲水制限マウスでは、腸内細菌の総数が増加し、特定の腸内細菌の割合が変化する。
・飲水制限によって腸管の免疫細胞の総数およびTh17細胞の割合が減少し、病原細菌の排除能が低下する。
・水チャネルであるAquaporin 3が腸内のTh17細胞の維持に重要である。
この記事に関連するニュース
-
明治の乳酸菌Lactobacillus paragasseri OLL2716株の継続摂取が腸内細菌叢の変化を緩和する可能性を示唆
共同通信PRワイヤー / 2024年7月24日 14時0分
-
実は、菌ってうつるんです!ドアノブを介して腸内環境が変化!?
Digital PR Platform / 2024年7月23日 11時0分
-
「小麦製品・牛乳・人工甘味料」化学物質過敏症の人が控えるべき3つの食べ物。整えるべきは腸」の驚くべき理由
集英社オンライン / 2024年7月21日 11時0分
-
第5回「NOSTER & Science Microbiome Prize」受賞者決定
共同通信PRワイヤー / 2024年7月16日 17時0分
-
「便秘の解消」専門医が導き出した"30年間の結論" 「腸の老化」の改善は、1日たった30秒でできる
東洋経済オンライン / 2024年7月10日 16時0分
ランキング
-
1ファミマ、「カラフル靴下」が2000万足突破の衝撃 地味だった衣料品売り場を「主役級」に大改革
東洋経済オンライン / 2024年7月28日 8時0分
-
2「子どもが野菜を食べてくれない」悩みへの回答 科学的に正しい「野菜嫌いをなくす5つの方法」
東洋経済オンライン / 2024年7月27日 15時0分
-
3スズキ、コンパクトSUV「フロンクス」の最新情報を公開
財経新聞 / 2024年7月27日 16時36分
-
4カスハラ被害、企業規模が大きいほど増加 最も被害が多い業界は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月28日 8時10分
-
5ホンダの「自動運転タクシーサービス」に衝撃! GMが自動運転専用車の開発凍結を発表!? 26年開始はどうなる?
くるまのニュース / 2024年7月27日 22時10分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)