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メガリンの立体構造とリガンド結合様式を解明

Digital PR Platform / 2024年5月24日 11時0分

 さらにクライオ電子顕微鏡による観察から、生体内のリガンド分子がメガリンの複数個所に結合していることが明らかになりました(図3)。これらの結果から、メガリンのLBD、およびβ-propellarは協調して、様々な形の結合ポケットを作り出すことで、多様なリガンドを認識していることが明らかになりました。


[画像3]https://digitalpr.jp/simg/1706/88608/500_304_20240522150921664d8c113e378.jpg

図3 メガリンのリガンド結合部位

これまでリガンド結合部位だと考えられてきたLBDだけでなく、
β-propellarと協調して様々な結合ポケットを作り出していること
 が明らかになった。新たに同定されたリガンド結合部位は、それぞ

                  れβケージ、βバスケット、βポケットと名付けた。




 さらに、メガリンのリガンドの一つで、シャペロン分子としてもはたらくRAPとメガリンの複合体の立体構造に関しても、クライオ電子顕微鏡法による観察によって明らかにしました(図4左)。複合体の構造では、RAPの三つのドメイン(D1~D3)のうち、D1とD3の二つだけがメガリンと相互作用していましたが、分子間相互作用解析法(表面プラズモン共鳴法(注6))を用いて解析したところ(図4右)、いずれのドメインも単独でメガリンと結合できることがわかりました。これらの結果から、RAPはフレキシブルにメガリンと相互作用を形成して、フォールディングを助けるという仕組みをもつことが明らかになりました。



[画像4]https://digitalpr.jp/simg/1706/88608/500_196_20240522150926664d8c16295c5.jpg

図4 メガリンとRAPの複合体構造

クライオ電子顕微鏡によって明らかになったメガリン-RAP複合体の全体構造(左)、および表面プラズモン共鳴
法による相互作用解析(右)。複合体構造においては、RAPの三つのドメイン(D1~D3)のうち、D1とD3のみ
がメガリンと相互作用していたが、相互作用解析によってすべてのドメインが単独で結合しうることが示された。



Ⅳ. 今後の展開



 腎臓は、様々な物質を尿中に排泄するとともに、特に近位尿細管細胞において、各種の物質を取り込み、代謝を行なっています。メガリンは、タンパク質・ペプチド・薬剤など、様々な物質の取り込み・代謝に関わる受容体分子であり、腎臓の代謝機能において、中心的な役割を担っています。今回の研究によって、メガリンとリガンドとの相互作用様式・部位が明らかになったことで、腎臓の物質代謝機能を理解するための基本的な仕組みがわかりました。メガリンを介して腎臓に取り込まれ、腎臓病を引き起こす腎毒性物質が多く報告されていますが、今後、メガリン結合を阻害して腎臓病の発症を防ぐような薬剤(メガリン阻害剤)の開発につながることが期待されます。

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