2024年4月、慈恵医大が産学連携講座「がんサバイバーシップ・デジタル医療学講座」を新設
Digital PR Platform / 2024年6月5日 11時56分
3.成果
研究参加者は264名(アプリ実施群・通常ケア群132名ずつ)でした。研究参加者の年齢中央値はアプリ実施群と通常ケア群でそれぞれ、62.5(範囲 24-90)歳、61(範囲 25-86)歳、性別は女性が92名(70%)、93名(71%)、がんの種類は乳がん37名(28%)、40名(30%)、膵がん14名(11%)、11名(8%)でした。全身状態を表すパフォーマンスステータス(日常生活の制限の程度)は4段階での評価で0~1の全く問題なく発症前と同じ日常生活が制限なく行えるまたは激しい活動は制限されるが家事や事務作業を含む歩行、軽作業、座っての作業はできる方が262名(99%)でした。
主要評価指標である診察中の主治医のコミュニケーション行動の平均得点は、アプリ実施群19.6点(95%信頼区間: 17.9-21.3)、通常ケア群12.0点(95%信頼区間: 10.3-13.7)と統計学的に有意な差が認められました(差の平均: 7.7点; 95%信頼区間: 5.4-10.0; P < 0.0001)。これは、アプリ実施群において、診察中の主治医の共感的なコミュニケーションが有意に多く見られたことを示します。
そのほかの評価指標では、アプリ実施群の研究参加者の話し合いの直後の不安・抑うつが診療後に増悪することはなく、満足度が高い(5つの評価項目のうち①Needs Addressed ニーズへの対処、②Active involvement in discussion 話合いへの積極的な参加において有意い高い)ことが示されました。また、1か月後、3か月後、6か月後の不安・抑うつ、生活の質においては群間に有意な差を認めませんでした。今後、介入の実施可能性、6か月間の医療の利用状況、診察中の研究参加者と主治医の発話数、ACPに関する発話数への有効性を分析し、公表する予定です。
4.今後の応用、展開
研究環境下でアプリによる協働意思決定支援プログラムが望ましいコミュニケーションを促進することが示されたことから、実際の診療で使用することでの有効性について検討します。そのために、より大きな効果が得られる患者さんの背景を検討するなどより詳しい分析を行います。
5.脚注、用語説明
ACP(Advance Care Planning、アドバンス・ケア・プランニング):患者さんが自身の価値観、生活の目標、今後の治療に対する意向を考え、家族や医療者と共有することを支援するプロセスのことです。その目的は、重篤な病気や慢性疾患の中で、人々が自身の価値観、目標、意向に沿った治療を受けられるように支援することです。4)
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