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【中部大学】プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)が同時に伝導する新しい安定物質を発見--高効率燃料電池や水と二酸化炭素から燃料を合成できる技術の実現に期待--

Digital PR Platform / 2024年6月13日 20時5分

■今後の展開■
今回の研究では、組成を2種類に絞って、詳細研究を進めて来ましたが、今後、中間組成の導電特性を調べることで、導電種であるプロトンと酸化物イオンの導電の割合がどのように制御可能かを検討する予定でいます。それとともに、電気化学セルを作製し、燃料電池
などの電気化学デバイスの実証実験を行います。また、
Ca欠損が混合イオン導電性に及ぼす影響や、水和に伴う化学膨張が低い要因など、固体内でのイオンのふるまいで不明な点も多く、これらの機構解明には、各研究機関と協力して推進する予定でいます。

用語解説
(注1 チタン酸カルシウム)
化学式CaTiO3のペロブスカイト構造を有する酸化物です。安価で、高い誘電率を持ち、セラミックコンデンサなどに使用されています。Scで一部置換したCaTi0.93Sc0.07O3-αは、軽量で、8YSZより高い酸化物イオン導電率を示すことから、航空機などの移動体用SOFCの材料として開発が進められてきましたが、詳細な分析を進めた結果、これまで評価してきた高い酸化物イオン導電率を示す組成はCaが5%程度欠損したCayTi0.93Sc0.07O3-α(y ≈ 0.95)であることが判明しています。


(注2 水和膨張)
酸化物におけるプロトン導電性は、H2Oが酸化物中に溶解し(水和)、酸素空孔に酸化物イオンが、また、結晶格子間にプロトンが、それぞれ入り込むことで発現します。この際、結晶の格子に生じる膨張を水和による化学膨張(水和膨張)といい、膨張に伴う機械的応力の発生が破損などの原因になるため、信頼性の観点から、その抑制が望まれています。


(注3 燃料電池)
空気中の酸素と燃料との電気化学反応を利用した発電装置であり、代表的なものとしては、電解質に高分子材料を使う固体高分子形燃料電池(PEFC)とセラミックスを使う固体酸化物形燃料電池(SOFC)があります。いずれも、電力と給湯の供給可能な、「エネファーム」として、製品化され家庭用に使われています。自動車用ではPEFCの実用化が先行していますが、発電効率はSOFCが高いことが特徴となります。


(注4 高温電気化学デバイス)
100℃を超える温度領域で、電気化学反応を利用した装置の総称です。SOFCなどの燃料電池のほか、NOxの分解、水蒸気電解による水素製造(SOEC)、CO2を原料としたCO製造などの装置があります。特徴として、電極反応がよりスムーズに起こるため、室温で作動する電気化学デバイスより貴金属等を使用しなくてもより高い効率が望める、吸熱反応を利用したデバイスの場合、廃熱が利用できる、などのメリットがあります。

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