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【大阪大学】"脂肪肝から肝がんになりやすい人"を見分ける新指標 ― 肝がんの早期発見・早期治療へ期待

Digital PR Platform / 2024年6月20日 14時5分

【大阪大学】"脂肪肝から肝がんになりやすい人"を見分ける新指標 ― 肝がんの早期発見・早期治療へ期待



【研究成果のポイント】
◆血中GDF15(※1)値が高い脂肪肝患者さんは、肝がんになりやすいことを発見。
◆脂肪肝では、肝臓が硬いと肝がんが高い頻度で発生するが、肝臓があまり硬くなくても一定頻度で肝がんが発生するため、さらなる肝がん発生予測マーカーの開発が望まれていた。
◆脂肪肝患者について、将来の肝がん発生リスク、肝臓が悪くなるリスク、死亡に至るリスクを評価し、積極的に治療や経過観察をするべき患者を見出すため、血中GDF15値を指標とするなどの臨床応用に期待。




【概 要】
 大阪大学医学部附属病院 熊崎秀祐 医員、大学院医学系研究科 疋田隼人 講師、竹原徹郎 教授(消化器内科学)、北海道大学病院消化器内科、北海道大学大学院医学研究院消化器内科学、佐賀大学医学部附属病院肝疾患センター、市立貝塚病院消化器内科、大阪中央病院消化器内科、大垣市民病院消化器内科らの研究グループは、血中GDF15値が高い脂肪肝患者は、その後肝がんになりやすいことを明らかにしました。
 近年、脂肪肝を背景とした肝がんが増加しています。脂肪肝では、肝臓が硬くなり肝硬変(※2)に至ると高い頻度で肝がんが発生しますが、少し硬い程度でも一定頻度で肝がんが発生します。このような少し硬い程度の脂肪肝の患者さんは非常に多いため、肝がんが発生するリスクを見分けるような新たなバイオマーカーの開発が期待されていました。
 今回、竹原教授らの研究グループは、血中GDF15値に着目し、脂肪肝患者において血中GDF15値が高ければ、その後肝がんが発生しやすいことを明らかにしました。また、血中GDF15値が高い患者は、その後肝臓が悪くなり腹水や肝性脳症(※3)などが出現して入院する可能性が高いこと、予後も悪いことがわかりました。また、FIB-4 index(※4)による肝臓の硬さ危険指標低リスク(FIB-4 index<1.3)の患者からは、ほとんど肝がんなどは発生しませんでした。そこで、血中GDF15値と肝臓の硬さ危険指標中リスク以上(FIB-4 index>1.3)と組み合わせることで、より効率的に肝がんの発生リスクが高い患者、肝臓が悪くなる患者、予後が悪い患者を絞り込むことができることを明らかにしました(図1)。
 これらの結果から、脂肪肝患者のGDF15 値を指標に経過観察や肝がんスクリーニングの頻度を調整するなどの臨床応用が実現すれば、効率的な肝がん早期発見スクリーニング体制の構築につながるのではないかと期待されます。
 本研究成果は、米国科学誌「Alimentary Pharmacology & Therapeutics」(オンライン)に、 6月3日(月)に公開されました。

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