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【名城大学】機能性が強化された次世代型アスタキサンチンの開発へ!~効率的かつ化学薬品不使用のカロテノイド異性化技術を確立~

Digital PR Platform / 2024年7月5日 20時5分


注:本研究では、アスタキサンチンの原料として富士化学工業社製のヘマトコッカス藻抽出物(オイル状)を用いました。この原料は異性化処理前においてもシス型アスタキサンチンが比較的多く含まれています。しかしながら、本技術を用いることで総シス型比率のさらなる向上(総アスタキサンチンの約60%)を達成しました。

また、通常シス型のカロテノイドは不安定(室温での保管でトランス型に異性化する)ですが、エステル体のシス型アスタキサンチンは高い保管安定性を有することを実証しました。具体的には、加熱によりシス型比率を高めたアスタキサンチンエステルを40 ℃で長期間保管しても、シス型比率は維持され(約50%)、アスタキサンチン自体の分解も起こらないことを確認しました(図3)。また、このメカニズムを、密度汎関数法(DFT)による分子計算により明らかにしました。



【今後の展開】
今後、本異性化技術が実生産スケールに適用可能かを検討します。また、シス型アスタキサンチンエステルのさらなる価値創出やアプリケーション開発、安全性評価を行い、その上市を目指します。




【補足事項】
本研究は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の委託事業である研究成果最適展開支援プログラム A-STEP(本格型)の支援を受けて実施しました。当研究課題は、富士化学工業と名城大学に加え、関西学院大学、京都大学、富山大学との多岐分野に渡る学際的な共同研究体制で研究を推進しています。また、本研究におけるアスタキサンチン異性体の分析に関しては名古屋大学全学技術センター高濱 謙太朗 博士、沢田 義治 博士の支援を受けました。


【用語の解説】
1)アスタキサンチン
エビやカニなどに含まれる赤色色素で、キサントフィル系のカロテノイドである。強力な抗酸化作用を有することに加え、眼精疲労の軽減、脳の認知機能向上、肌質の改善などの作用を示すことが近年実証され、食品や化粧品分野での需要が拡大している。

2)シス-トランス異性体
化学式が同じだが、性質が異なる化合物を異性体という。シス-トランス異性体は、化合物中の二重結合を挟んで存在している置換基の位置の違いによって生じる。二重結合に対して主要な置換基が同じ側に結合しているシス型と、反対側に結合しているトランス型がある。

3)トランス型カロテノイド
ポリエン鎖の二重結合がすべてトランス体である形態。天然では通常トランス型が優勢である。高い結晶性を有し、油脂などへの溶解性が極めて低い。このような物性に起因して、体内吸収性が低く、加工(抽出、乳化、粉末化など)効率が悪い。

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