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発生・発がんを制御するHedgehogシグナルの新たな活性化機構と責任分子(リン酸化酵素:DYRK2)を同定

Digital PR Platform / 2024年7月9日 10時26分

【研究手法と成果】
そこで、本研究では、トランスクリプトームやインタラクトーム解析を組み合わせたマルチオミックス解析を駆使し、Hedgehogシグナル活性化機構におけるブラックボックスの解消を目指しました。

本研究から得られた主な成果は以下のものです。

・ トランスクリプトーム解析ならびにノックアウトマウスを用いた解析から、一次繊毛(注4)に局在する分子の中でも、リン酸化酵素DYRK2がHedgehogシグナルの活性化に強く寄与することを見出しました。

・ インタラクトーム解析から、DYRK2のリン酸化基質として、Hedgehogシグナル制御の中核を担う転写因子GLI2/GLI3を同定しました。さらに、GLI2/GLI3分子内の進化的に保存されたリン酸化サイト(GLI2S252/GLI3S313)を同定しました。

・ DYRK2によるGLI2/GLI3のリン酸化は、Hedgehogリガンド刺激によるSMOの活性化に依存して誘導されることを見出しました。

・ リン酸化GLI2S252/GLI3S313の生物学的意義を解析した結果、DYRK2によるリン酸化は、GLI2/GLI3から抑制性のアダプターであるSUFUを解離させ、活性型GLI2/GLI3として核移行を促進し、Hedgehogシグナルを活性化することを明らかにしました。

・ Dyrk2ノックアウトマウスは細胞増殖の低下に起因した四肢の低形成を示します。そこで、Dyrk2ノックアウトマウスの四肢原基から調製した初代培養細胞に、GLI2S252のリン酸化をミミックしたコンストラクトを発現させることで、細胞増殖が回復することを確認しました。

以上のことから、DYRK2は、Hedgehogリガンド依存的に、SMO下流でGLI2/GLI3の活性型変換と核移行を促進し、Hedgehogシグナルを活性化する新規な制御因子であることを明らかにしました。


【今後の応用、展開】
本研究から、ブラックボックスであったSMO下流のHedgehogシグナル活性化機構とその責任分子DYRK2を同定しました。発生や奇形疾患に重要なHedgehogシグナル伝達経路の基礎的原理の理解に貢献することが期待されます。
さらに、現行のHedgehog阻害薬は、薬剤耐性ならびにOncogenicなSMO遺伝子変異を誘導するという問題点があります。本研究で明らかとなったSMO下流のHedgehog活性化機構を標的とすることで、現行薬へ不応な変異を有する患者にも有効な「次世代のHedgehog阻害薬開発」が可能になると期待されます。




本件に関するお問合わせ先
学校法人慈恵大学 広報課 
メール:koho@jikei.ac.jp
電話:03-5400-1280

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慈恵大学 プレスリリース一覧
https://www.jikei.ac.jp/press/


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