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がん細胞に薬剤を高効率に取り込ませる新たな手法を発見 抗がん剤を効果的に送り込む「薬物送達ベクター」の開発応用に期待

Digital PR Platform / 2024年7月18日 14時5分

がん細胞に薬剤を高効率に取り込ませる新たな手法を発見 抗がん剤を効果的に送り込む「薬物送達ベクター」の開発応用に期待



近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)病理学教室講師 萩山満、同講師 米重あづさ、同主任教授 伊藤彰彦らを中心とした研究グループは、独自に作製した抗体が標的であるがん細胞に結合した後、高効率に細胞内に取り込まれる性質があることを見出し、そのメカニズムを明らかにしました。さらに、この抗体に抗がん剤を搭載した後、担がんモデルマウスに注射したところ、がんの増殖をほぼ完全に抑制できることがわかりました。本研究は、作製した抗体を用いた抗がん剤の開発や、抗がん剤を効率的にがん細胞に送り込む「薬物送達ベクター※1」の機能向上に寄与すると期待されます。
本件に関する論文が、令和6年(2024年)6月12日(水)に、薬剤送達研究の国際的な学術誌"Journal of Controlled Release(ジャーナル オブ コントロールド リリース)"に掲載されました。





【本件のポイント】
●独自に作製した抗体が、標的であるがん細胞に高効率に取り込まれることを発見
●抗体に抗がん剤を結合させた薬剤を、担がんモデルマウスに投与することで、がんの増殖がほぼ完全に抑制できることを解明
●本研究成果は、作製した抗体を用いた抗がん剤の開発や、薬物送達ベクターの送達機能向上に寄与すると期待

【本件の背景】
「抗体薬物複合体」は、がん細胞まで効率的に薬剤を届けて攻撃できる医薬品で、薬剤をがん細胞に効率よく送り込む運び屋として機能する「抗体」、がん細胞を攻撃する「薬剤」、抗体と薬剤を結合させる「リンカー※2」の3つの要素で構成されています。抗体は、がん細胞の表面にある特定のタンパク質に結合し、がん細胞に取り込まれることで薬剤を細胞内に運んでおり、「薬物送達ベクター」と呼ばれます。抗体薬物複合体のがん細胞に対する効果は、がん細胞に抗体が取り込まれる効率に依存していますが、これまでこの取り込み効率に関する詳細な研究は行われていませんでした。
CADM1(cell adhesion molecule 1)は、細胞膜を貫通する膜タンパク質で、細胞同士を結び付ける接着分子として機能しています。研究グループは、長年にわたってCADM1に関する研究に取り組み、この分子の病態学的研究をリードしており、近年は独自のCADM1抗体を用いてがんや神経系疾患の治療法を確立することを目指し、国内外の研究室や企業と連携しています。その一環で、先行研究においてCADM1に結合する「抗CADM1抗体」が、抗体薬物複合体に用いる抗体として有用であることを明らかにしましたが、そのメカニズムの詳細は明らかではありませんでした。

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