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世界最短グラフェンプラズモン波束の電気的発生・伝搬制御・計測に成功 ~テラヘルツ周波数の超高速信号処理の実現に貢献~

Digital PR Platform / 2024年7月22日 15時12分

 なお本研究は、NIMSが成長させた最高品質の六方晶窒化ホウ素(hBN)を用いて、東京大学の協力のもと、NTTでグラフェンの両面を保護し極めて清浄なデバイスを作製し測定を行いました

3.本研究における技術のポイント
①THzエレクトロニクス技術による超短電気パルスの発生・検出
 既存のエレクトロニクス技術を使ってTHz領域の電気パルスを発生・検出することは未だ困難です。そこで、フェムト秒(1000兆分の1秒)光パルスと光伝導スイッチを組み合わせたオンチップTHz分光法を応用することで、最大で2 THzの帯域で電気信号の発生・検出を可能にしました。

②グラフェンデバイス
 金属ゲートを用いることで、閉じ込め効果の大きなグラフェンプラズモンの発生を可能にしました。さらに、THz信号に対して透明な酸化亜鉛(ZnO)ゲートをその上に追加することで、高効率プラズモン励起を可能としました。

 本研究において①と②の技術を初めて同一デバイス上に統合することで、超短グラフェンプラズモン波束の電気的発生・伝搬制御・計測に成功し、さらにその特性を詳細に理解することが可能になりました。

4.今後の展開
 今回の成果により、回路中でTHz領域の高周波電気信号の位相・振幅を電気的に制御可能なプラズモン素子を実現できることが示されました。これを発展させることで、より高度な信号処理素子、例えば周波数可変フィルター、増幅器、変調器等をTHz領域で実現することをめざします。また、本研究はグラフェンプラズモンが電気で扱えることを示したものですが、光によってもプラズモンを発生させられることを考えると、新しい光電融合技術の発展につながる可能性もあります。
 THz領域での信号処理技術を突き詰めていくことで、将来的な情報通信や計算処理速度の大幅な向上に貢献できることを期待しています。

論文掲載情報
掲載誌:Nature Electronics
論文タイトル:On-chip transfer of ultrashort graphene plasmon wave packets using terahertz electronics
著者:Katsumasa Yoshioka, Guillaume Bernard, Taro Wakamura, Masayuki Hashisaka, Ken-ichi Sasaki, Satoshi Sasaki, Kenji Watanabe, Takashi Taniguchi, and Norio Kumada
DOI:https://doi.org/10.1038/s41928-024-01197-x

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