世界最短グラフェンプラズモン波束の電気的発生・伝搬制御・計測に成功 ~テラヘルツ周波数の超高速信号処理の実現に貢献~
Digital PR Platform / 2024年7月22日 15時12分
【用語解説】
※1.グラフェンプラズモン
プラズモンとは、電荷密度の振動であり、光のような波としての性質を有しながら、自由空間の光に比べて極めて小さな領域に電磁場を閉じ込められる特徴がある。特に、グラフェン中の自由電子の振動であるグラフェンプラズモンは、THz領域でロスが小さいことが知られており、さらに電子密度を変化させることにより波長や伝搬速度等を制御できる特徴がある。これまで電気的に発生されたグラフェンプラズモン波束の最短パルス幅は∼25ピコ秒であり(NTT調べ:Phys. Rev. Lett. 110, 016801 (2013))、初めてTHz領域に到達することができた。グラフェンプラズモンに関するさらなる詳細は別紙を参照。
※2.波束
本研究では、0∼2THzの広帯域な周波数成分を持つ超短電気パルスを使っているため、多数の波数の異なる波の合成であるプラズモン波束が生成されている。波束とは、限られた範囲にだけ存在する波のことをいい、移動する1個の波動のかたまりのようにふるまう。波束のパルス幅と波束がもつ周波数成分の関係はフーリエ変換で結ばれている。本研究では、原理実証の上で有利な波束の伝搬計測を行ったが、振幅と周波数が一定の連続波を使っても同様にプラズモン信号の振幅と位相が制御可能なことを示している。
※3. テラヘルツ(THz)領域
THz領域とは光波と電波の中間に位置する周波数領域であり、一般的に0.1 THzから10 THzの電磁波を指す。より低周波であるギガヘルツ(GHz)領域(< 100 GHz)ではエレクトロニクス技術が、より高周波の領域(> 10 THz)ではフォトニクス技術が発達しているのに対して、THz領域は取り扱いの難しさから未だ産業応用が十分に進んでいない。
※4. 変換効率
THz領域のグラフェンプラズモンはこれまで自由空間を伝搬する電磁場(あるいは光)を使って調べられてきたが、この場合には光とプラズモンの運動量ミスマッチによって変換効率が低下してしまうことが知られている。特に、伝搬するプラズモン波束への変換効率は∼0.005%に留まっている(NTT調べ:Nat. Photonics 12, 22 (2018))。
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