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肥満によって透析治療が必要になりやすい腎臓の特徴を明らかに

Digital PR Platform / 2024年7月24日 10時21分

肥満によって透析治療が必要になりやすい腎臓の特徴を明らかに

-独自のネフロン・ポドサイト解析により、世界で初めて実証に成功-

東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科 春原浩太郎助教、坪井伸夫准教授らの研究グループは、独自に開発したネフロン・ポドサイト解析法を用いて、肥満による腎障害の程度に個人差が生じるメカニズムを世界で初めて臨床的に実証しました。本研究の成果により、肥満によって透析治療が必要になりやすい腎臓の特徴が明らかになるとともに、肥満の合併症としての慢性腎臓病*1の予防対策と治療法の開発に役立つものと期待されます。
・ 腎臓の糸球体*2毛細血管を束ねる上皮細胞であるポドサイトの数の差が肥満による腎障害の発症と進行に関与している可能性を見出しました。
・ 肥満関連糸球体症の中でもポドサイト密度が低いほど腎機能の低下が早く腎不全に至りやすいことを明らかにしました。
・ 早期の肥満関連糸球体症では、糸球体あたりのポドサイト数や糸球体容積あたりのポドサイトの密度の減少が、腎機能低下やネフロン数の減少よりも先に発生していることが分かりました。

一般に肥満は慢性腎臓病の要因となることが示されていますが、肥満患者の一部だけが蛋白尿や腎機能障害を発症する理由は十分に解明されていませんでした。また、ポドサイトや糸球体の減少は蛋白尿の原因や腎機能低下に関係すると考えられてきましたが、糸球体を覆うポドサイトの数を正確かつ簡便に測定することは困難でした。今回は以前の研究で独自に開発したネフロン・ポドサイト解析法を用い、肥満関連糸球体症と健康な腎臓でポドサイトの数と大きさを比較して初めて臨床的に実証しました。
今後は、肥満関連糸球体症以外の腎疾患にも関係するか否か、あるいは、腎臓への効果が証明されている薬剤がポドサイト指標に及ぼす影響などを検証する予定です。
今回の研究成果は、国際腎臓学会誌「Kidney International」に掲載されます(2024年7月24日)。

主要メンバー:
・東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 助教 春原浩太郎 
・東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 准教授 坪井伸夫
・東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 教授 横尾隆

【本研究内容についてのお問い合わせ先】
東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 助教 春原浩太郎、准教授 坪井伸夫
電話 03-3433-1111(代)

【報道機関からのお問い合わせ窓口】
学校法人慈恵大学 経営企画部 広報課 電話 03-5400-1280 メール koho@jikei.ac.jp
研究の詳細
研究内容
肥満は、わが国を含め世界中で、生活習慣病や死亡率増加に関連する重要な病態です。肥満は、高血圧や糖尿病などを介して慢性腎臓病の発症に関与する一方で、肥満自体が慢性腎臓病の原因となることがわかってきました。肥満による慢性腎臓病患者の一部は進行性の経過を示すため、腎生検*3による介入が行われるようになりました。このような経緯により、肥満関連糸球体症という肥満に特有の腎臓病の一型が認知されるようになりました。肥満関連糸球体症は、尿蛋白と緩徐に進行する腎機能障害を臨床的な特徴とします。病理組織学的に著しく腫大した糸球体が特徴的であり、ポドサイト傷害による分節性糸球体硬化を認めることもあります。治療としては、体重減量や食事療法を含む生活習慣の是正や降圧薬などの薬物療法を行うことが一般的です。しかし、これらの治療法に抵抗性を示し腎不全に至る例も多くおり、このような進行性の経過を規定する因子を解明することが求められています。

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