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【名城大学】海苔のもつ抗酸化作用~季節変動と加工工程による増強を発見~

Digital PR Platform / 2024年7月26日 20時5分

【名城大学】海苔のもつ抗酸化作用~季節変動と加工工程による増強を発見~



名城大学 大学院総合学術研究科の景山伯春教授(分子生物学)のグループは、海苔として現在最も広く食用されているスサビノリが示す抗酸化作用が収穫時期によって変動し、加工処理によって増強されることを発見しました。アンチエイジングに寄与する抗酸化作用の増強を活かして、付加価値をプラスした新たな食材開発や調理方法への貢献が期待されます。本研究成果は、2024年7月 25日(日本時間)にアメリカの生化学・分子生物学の国際誌「AIMS Molecular Science」に掲載されました。




【本件のポイント】
・11月/12月に収穫される秋芽網の初摘み海苔が高い抗酸化作用を示した。
・生海苔を加熱して乾燥、焼処理を施すことによって抗酸化作用が増強された。
・増強された抗酸化作用はフェノール類化合物の増加によるものだと推定された。
・海苔の加熱処理により付加価値がプラスされた食材開発や調理方法提案への貢献に期待。


【研究の背景】
海苔として現在最も広く食用されているスサビノリ Neopyropia yezoensis (*1)の収穫時期は11月/12月から始まって3月/4月まで続きます。11月/12月の収穫を秋芽網とよび、網に種付けして育苗した海苔をそのまま収穫します。この秋芽網の中でも最初に収穫された初摘みの海苔はやわらかく風味がよいとされています。1月~4月の収穫は冷凍網とよばれ、冷凍保存しておいた種網を張って養殖した後に収穫します。収穫した生海苔は食用となりますが、一般的には焼き海苔として加工されたものが流通しています。焼き海苔は、生海苔を約40℃で乾燥加工して乾海苔とした後に、180-200℃で加熱する焼工程を経てつくられます。歯ざわりをよくする、うま味を出す、香りを出す、色を出すといった理由から、乾海苔を焼いて焼き海苔に加工するのが一般的です。


【研究内容】
海苔はアンチエイジングに寄与する抗酸化活性(*2)を示すことが知られています。我々は、収穫時期によって海苔がもつ抗酸化作用が変化するかを調査する為、伊勢湾で海苔養殖を営む鬼崎漁業協同組合(愛知県常滑市)の中村力男氏の協力により同じ漁場で収穫された12月(秋芽網の初摘み)、1月(冷凍網)、3月(冷凍網)の生海苔サンプルを入手し、その抗酸化能を評価しました。その結果、秋芽網の初摘み海苔が最も強い抗酸化作用を示すことが分かりました(図1)。収穫した漁場周辺における環境要因を調べたところ、強い抗酸化作用を示した12月は1月および3月と比較して水温が高く、栄養塩(窒素、リン)濃度が高い傾向がありました。抗酸化作用を示す物質として、フェノール類化合物(*3)、マイコスポリン様アミノ酸(MAA)(*4)、クロロフィル(*5)、カロテノイド(*6)の含有量を調べたところ、海苔の抗酸化作用の季節変動とフェノール類化合物の含有量に相関があることがわかりました(図1)。

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