ブルーオーチャードマイクロファイナンス市場見通し
Digital PR Platform / 2024年8月2日 10時4分
コーカサスと中央アジアの両方で現在起きている地政学的なイベントは、地域の経済状況に大きな影響を与えています。ジョージアでは、2024年5月に物議を醸す「外国の影響力透明化に関する法律」が採択され、同国のEU加盟への道筋と、それに伴って予想される外国直接投資の流れに懸念が生じています。一方、アルメニアとアゼルバイジャンは、この地域に安定をもたらすと期待される歴史的な平和条約の調印に向けて協議を進めています。この平和条約は協力を促進し、インフラ整備の促進や地域貿易の増加が見込まれるほか、紛争によりこれまで行われてこなかった海外からの投資を呼び込むことで、大きな経済的可能性を引き出すと期待されています。さらに、中国の一帯一路構想(BRI)はコーカサスと中央アジアで勢いを増しています。この新シルクロード・プロジェクトは、インフラへの大規模な投資を通じて経済成長を後押しし、地域全体の接続改善と貿易ルートを強化することが想定されています。この構想は、ロシア・ウクライナ紛争と制裁措置により、ロシアを経由する従来の物流ルートの利用が制限されたため、再び勢いを増しています。これらの地域内の国々は、貿易量の増加と物流網の改善から恩恵を受けることが期待され、グローバル市場とより密接につながっていくことで経済環境が一変する可能性があります。
2024年第1四半期のGDP成長率は、ジョージアが4.8%、カザフスタンが4.2%、ウズベキスタンが5.5%となりました。アルメニアはGDP成長率9.2%と好調な経済パフォーマンスを示し、アゼルバイジャンは4%の成長を維持しました。インフレ率は地域内でばらつきがあるものの、上記の国はいずれも3%台前半です。なお、ロシアからジョージアへの送金は2022年と比べて78%減少し、7,100万ドルとなっています。これは特にロシア人駐在員の離脱によるもので、公式統計では紛争の間にロシアからの移民が30%減少しています。
このような地政学的な変化は、課題となり得ると同時に、絶好の機会とも言えます。不安定な情勢の中、この地域の中小企業(MSME)セクターは各国とも底堅さを示しており、10~15%の成長率が見込まれています。さらに、この地域の制裁違反リスク(二次的制裁)は回避されており、制裁を受けた企業や個人は個別のケースにとどまっています。EUと米国の各当局は、2023年にジョージアを制裁遵守モニタリング訪問した際、各部門で強力な遵守体制が整備されていると結論づけました。MFIや銀行には対外ヘッジ金利の上昇が負担となっているものの、不良債権(NPL)の減少が続いており、外貨準備高も堅調であることから、この地域の国々は2024年後半に向けて安定したマクロ経済環境の土台を築いていると考えます。
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