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【東京医科大学】薬剤使用群ごとの疾患発生割合をより正確に推定可能なデータベース研究におけるアウトカム定義の選択基準を提案 ~質の高いデータベース研究実施につながることが期待~

Digital PR Platform / 2024年8月8日 20時5分

【本研究で得られた結果・知見】
1. アウトカム誤分類が非差異的である場合、Youden indexはリスク差のバイアスを最小化する(図1)
 異なるアウトカム定義にわたる感度と特異度の関係を示したROC曲線においては、判定が完璧である状況を示す感度(真に疾患がある場合に、疾患ありと判定する確率)と特異度(真に疾患がない場合に、疾患なしと判定する確率)が共に1である点に最も近いペアを選択する基準(図1①)と、Youden indexと呼ばれる対角線からの最大距離をとるペアを選択する基準(図1②)が用いられています。本研究では、興味のある薬剤使用などの曝露とアウトカムが共に二値変数であり、アウトカム定義による誤分類が他の変数に依存しない非差異的誤分類の場合、リスク差のバイアスの期待値は、(真のリスク差)×(感度+特異度-2)となることを示しました。Youden indexは(感度+特異度-1)が最大であるペアを選択する基準であるため、Youden indexによって選択されたアウトカム定義を用いた場合、リスク差のバイアスは最小化されます。

2. 既存基準の問題点の指摘、および新たな選択基準の提案(図2)
 疫学や公衆衛生においては、曝露とアウトカムの関連性を示すリスク差やリスク比だけでなく、絶対リスクも意思決定を行う際に重要な指標です。曝露群と非曝露群の絶対リスクの推定に対するバイアスは、前述の仮定の下で感度・特異度とそれぞれの群のリスクの真値を用いて表現され、バイアスが一定の値になる状況は、ROC曲線と共に直線で図示することが可能です。
 図2中の直線は、それぞれ曝露群と非曝露群(曝露群のリスクの方が大きい場合、赤色が曝露群、青色が非曝露群に対応)の絶対リスクの推定結果にバイアスが含まれない感度と特異度の関係を図示したものであり、これらの直線とROC曲線の交点に対応する感度・特異度を示すアウトカム定義を選択した場合には、DB研究において絶対リスクをバイアスなく推定可能です。また、直線から上下に離れた点を選択するほど推定結果は不正確なものとなります。
 既存基準が問題となるのは、図2で示すように、既存基準によって選択される点(①, ②)と、2本の直線とROC曲線の交点が大きく離れる場合です。そこで我々はこの問題を解決するために、絶対リスクのバイアスの二乗和を最小化する基準を提案しました。これにより、絶対リスクの推定結果には大きなバイアスが含まれず、またリスク差・リスク比は絶対リスクの差・比として定義されるため、結果としてこれらの因果効果を示す指標も正確に推定されることが期待されます。

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