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【東京医科大学】DICER1症候群の発症機構の解明~DICER1症候群疾患モデルの作製から治療薬の開発へ~

Digital PR Platform / 2024年8月15日 20時5分



東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)分子病理学分野 黒田雅彦主任教授、大野慎一郎講師、老川桂生(大学院医学研究科博士課程:研究当時)の研究チームが、米国のChildren’s Minnesota HospitalのKris Ann Schultz博士らと共同で、DICER1症候群における嚢胞性腫瘍の発症メカニズムを明らかにした。本研究成果は、2024年6月26日に英国の病理学会誌「The Journal of Pathology」(IF 5.6)に掲載された。




【本研究のポイント】
・DICER1症候群患者組織で発見された遺伝子変異(2種類のDICER1遺伝子変異)をマウスの肝臓で再現した結果、DICER1症候群に含まれる嚢胞性肝腫瘍を発症した。
・肝嚢胞形成の原因として、PKD1およびPRKCSHの有意な発現低下および、肝内胆管上皮に発現する一次繊毛の形成異常を明らかにした。
・希少難病において、再現性の高い疾患モデル動物は、病態解明および治療法の開発に極めて重要であり、今後は他のDICER1症候群関連疾患のモデル作製への応用が期待される。

【研究の背景】
 近年、次世代シーケンサーの普及により、希少疾患においても遺伝子変異解析がされるようになった結果、DICER1遺伝子の変異が家族性胸膜肺芽腫の主因であることが2009年に発見された。その後、多くの小児がんを含む希少疾患(松果体芽腫、下垂体芽腫、毛様体髄上皮腫、鼻腔軟骨中皮性過誤腫、多結節性甲状腺嚢胞、甲状腺癌、腎肉腫、ウィルムス腫瘍、嚢胞性肝腫瘍、卵巣セルトリ・ライディッヒ腫瘍、胎児型横紋筋肉腫など30種類以上の希少腫瘍が含まれる)において特徴的なDICER1遺伝子変異が検出され、DICER1症候群(DICER1遺伝子変異を原因とする腫瘍素因症候群)という分類が確立した。2018年に米国国立がん研究所(NCI)から発表されたDICER1症候群に関する疫学調査によって、DICER1遺伝子の遺伝性の病的バリアントの保有率は約1万人に1人も存在することが明らかとなった。一方で、DICER1症候群の研究報告はまだ少なく、病態および発症機序は不明な点が多い。したがって、乳幼児期から生涯にわたり高い腫瘍発症リスクにさらされるDICER1症候群の病態解明、治療法の開発は急務であり、そのために必要な実験動物モデルの開発は重要である。

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